8・新メンバーと旅立ち
勇者のお供のパーティーメンバーを選抜する日になった。
何だコイツら。どいつもこいつも貴族のまたまた三男坊以下で、顔だけや格好だけの騎士ばかり。
有能な武人はまあそりゃあ自国の防衛に取っておきたいわな。
なんでい?私にベタベタくっついてきて。うざいー。
聖女に触ると運気アップとかは迷信ですよ?
あ、1人だけ使えそうなのがいる。
全身黒ずくめで黒瞳黒髪の忍者ッポイ人。
隠密に長けてて得意なのは潜入、情報収集、投擲、壁登り、変装に拷問っと。名前はベリル君。17歳ね。よしよし。ん?拷問???
まあ?うん?採用!!!
あれ?でも採用後は予想外によく喋るひょうきんな明るい子だった。
そしてなんか勇者が不機嫌だ。
その後は出立祝いの宴が催される予定だったけど、丁重にお断りしてさっさと魔物討伐に向かう事にした。
キース君も嫌がったし、私も王宮から早く出たい!
だって前回と違って聖女の質素な衣じゃなくって、何故か侍女さん達に白いドレスを着せられ、白薔薇とか頭にブスブス突き刺されて痒いぃぃ。優雅にお茶会してるよりお掃除してたいんだよ!私の楽しみ奪うなー!!
さあ、3人しかいないパーティーだけどガンガン魔物を討伐だ!!
と意気込んで森に入った私が“東雲君”を振りかざした処で思わぬ事態が待ち受けていた。
《もっと引き付けてから振りかざせ。タイミングが早い!》
ー魔法の竹ボウキが喋ったぁぁぁぁぁーーー!!!
うわあぁぁー。東雲君って喋れたの!?ビックリだね!
《しののめ...?女神は下僕と言ってただろう?よく聞いておけ。お前はずっと見ていたが注意力が足りない。俺がこれから指導してやる。》
はあ。ありが...え?ずっと見てた?
私、お風呂とトイレ以外ずっと東雲君を肌身離さず持ち歩いてたんですけど?寝る時もベッドの中だったし、着替えも......
《.........................》
こらぁぁぁぁぁぁーーーっ!!
何か言えーーーーーー!!
喋る魔法の竹ボウキ君にキース君もベリル君もビックリしたが、彼のお陰で戦闘効率は格段にアップした。
勇者しか使えない魔法や技を熟知していたし、討伐に関する知識が豊富だった。流石は女神様の下僕だね!
「ちっ。またライバルが増えた....。」
後ろでキース君が呟いたけど何のライバルだね?
魔物討伐数でも競ってるのかな?心配しなくても君が一番だよ、キース君!ハーフエルフだけあってやっぱ身体能力も魔法センスも凄いもん。
最近は特に目覚ましい成長ぶりだよ?もう私は勇者君に勝てないと思うな。流石は勇者君だよ!
ベリル君も最短で魔物の巣に辿り着けるルートとか、魔物の弱点や効率のいい戦い方とかサポート能力で大活躍!
でも彼の一番凄いのはとっても美味しい夜営料理のスキルだった。
何でそんな少ないショボい具材で豪華スープが出来るの!?
そして私の好きな激辛系スープをよく作ってくれるんだ♪
キース君は苦手みたいだけど!!
王宮でのドレスや花は三男坊以下達からの贈り物です。
聖女モテモテです。気づいてませんが。




