6・勇者キース君
そうして聖教会本部はスルーして勇者を迎えに行く事にした。
勇者はモーリシャスの山奥で厳格な父親と2人きりで育った現在16歳の少年。1年前から父親から独立し、山から下りて町のギルドで依頼をこなしながら逞しく生きている無口無表情な子だ。
うーん、どうも前世の19歳という年齢に引きずられて、勇者がまだ保護者が必要な子供に見えてしまうなぁ。
全体的に細いけどしっかり体筋の鍛えられた隙のない所作の男の子。日によく焼けた浅黒い肌に青が混じった黒髪。瞳は用心深さが滲み出たブルートパーズ。
耳に鉄製の耳当てのような装備を付けているのが前回でもトレードマークだったっけ。
「という訳でお迎えに上がりました!勇者君!!初めまして。聖女ミルフェリアと申します。」
「何言ってんだ?あんた。....担ぐんなら他当たってくれ。」
だよね。取り付く隙もない。
さっさと立ち去ろうとする勇者君に、呼び止めようにもしまった!名前知らんわ!!前回勇者と指名してからは周りは皆さん勇者様!勇者様!と呼称していたので、いつの間にか忘れていったっけな。
仕方ないや。もうさっそく奥の手だ。
私は下僕の竹ボウキ“東雲”君を天に向けてバシッと振るった。
ビリッと小さな電撃が勇者の行く手に落ちる。
この竹ボウキとっても凄いのだ!ほとんどの属性の魔法を想像次第でバンバカ使えるチートな竹ボウキなのだ。ちょっと持ち歩くのに邪魔だが。
たまに自分の足に先っぽがガシガシ当たって痛痒いが。
いつでも掃き掃除が出来てそのついでに攻撃も出来るだなんて、めっちゃ素敵だ!!
1人で此処に来るまでの道中も、あらかた近隣の魔物をその役目通りにお掃除したよ!
.....あれ?
もうこの勇者君要らなくね?
いやいやいや!また女神様のお怒りを買うとこだった!!
一番大事なのはこの勇者君を“絶望させない”事だったわ。
いかん。またやり直しさせられる処だったわ。
いや。もしかすると次はないかもだし。恐ッ!
とにかく思春期真っ盛りなのか、ろくに喋らん取っ付きにくい勇者君を問答無用の拉致同然で引き連れて王宮に向けて出発した。
おかしいな。聖女ってこんなんで良かったっけか?
ま、いっか!あ!名前はキース君ね。
次の日にようやく名前だけボソッと喋ってくれたわ。
なかなか懐かない子猫みたい。
さらっと引き連れてますが聖女と勇者のバトルがチョイありました。年下の女の子に負けたので余計口を開きません。




