4・下僕は魔法の竹ボウキ???
えーと、とりあえず対策を練らないと。
女神様のお怒りは勇者が絶望していた、という事。
私は今回のやり直しで勇者を絶望させないように頑張ればいい、という事ね。OK!OK!
ところで勇者は何に絶望していたんだ?
ー知らんな。んーじゃ、それを知って回避するにはこれから勇者の傍にピッタリペッタリ引っ付いて目を光らせていなきゃね。
でもこちとら回復魔法が使えるだけの13歳のか弱き女子。
野宿はさておき、魔物がウヨウヨの森やら山やらソッコーで死ぬわ。でなくたって勇者の足手まといだわ。
どうしたものか、と思った処で手に何か当たった。
あ!女神様もう一つ何か言ってたっけなぁ。
えっと、“我の下僕を一つ”ーーー
そこには、一本の竹ボウキがあった。
.......................................。
「ええええええええええ!??し、下僕が竹ボウキぃ!?えええー!嘘でしょうー?」
ー体何の手違いだ。コレはアレだ。たまたま布団に入り込んでいただけだ。そうそう。ほら、寝る時にこれあるとー、抱きまくらの代わりにねー、てー、ッッッならんわ!!
てか、あれ!?これよくよく見ると!!最高級の秋田産竹ボウキ“東雲”じゃん!あのチリ一つ逃さずバッチリゴミを払い、絨毯の掃除機では吸えない猫の毛すら絡み取るという通販TVで紹介されてた1本10万するという.....!!
へえー。へえー。
前世で一瞬だけ欲しくなったけど、一般家屋でホウキはともかく竹ボウキは要らんやろ、と諦めたっけ。
よし!ちょっと掃いてみよ!と、ベッドから下りて絨毯目掛けて竹ボウキ東雲君を“ゴミを掃え!”と念じて掃いた瞬間ーーー、
ブゴオォォォォーーーーーーーッッッ!!!
バダダダダーーーーーーーン!!!
ドュルンッッッ!!!
部屋の絨毯は巻き上がり、タンスは吹っ飛び、カウチソファは一回転して戻った。
なにィィィーーーーーーーーーーーーーーーー!??
どうやらそれは魔法の竹ボウキだった。




