3・前世は上原まなゆ
目を覚ますと懐かしいエーゲルの生家のベッドだった。
私、ミルフェリア・エーゲルはこのエーゲルを治める領主の第4女として生を受けた。
上は姉ばかりの4人姉妹の末っ子。男子はいない。
姿見がちょうどベッドの真正面にあるので目を向けると女神様の天啓を受けた当日の13歳の姿だ。ピンクに近い金髪と淡い水色の瞳。
額には聖女の証である五芒星の聖痕がデカデカと存在を主張していた。
そしてそれを見た瞬間、頭の中に閃光が走った。
ーーーあああああッー!!思い出した!!!
私、前世日本人だった!!上原まなゆ、19歳、
百貨店販売員生活用品売り場担当、彼氏なしの自宅通勤者、趣味はお掃除お片付けの枯れた女子。確か台風の日の帰宅途中で足を滑らせて濁流となっていた近所の川に転落、溺死ーーー。
はああー.....。呆気ない生涯だった.....。
あんな風に死んでしまうならもっと色々チャレンジしておけば良かったよ。北海道一周一人旅とか。
密かに書いてたイラストを投稿してみるとか。
スポーツ売り場によく来る三浦☆馬似の美少年をデートに誘うとか。
はーーーーー。後悔してもしょうがないのか。
もうあの人生は終わったんだ。そうなのか、そうなのか。
あの書きまくった大量のイラスト、処分してくれただろうか。ちょっと見られると恥ずかしいエッチなイラストもあったんだが...。うっわ!居た堪れない!!
え?あれ?女神様が言ってた“役に立つ情報”ってまさかこれェェ!?
おおおーい!前世、枯れ女の記憶が一体いつどこでどんな風に役に立つってんだぁぁぁーーーー!??これはもはや罰なのか!?
女神様のお怒りを買った私への罰なのかぁぁぁーーー!??
ふう。意味分からん。しかし本当にやり直しをさせられるんだなぁ。あの勇者が魔王を倒した時、私は16歳だったから3年前に遡ったのか...。
うーーーむ。あ、ヤだ。ソバカスがまだあったのか、この頃。
と、そんな場合じゃないないっと。




