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18・キース君サイド3~お掃除の歌~中編

まさかの中編(>w< )

ミルフェさんのエピソードが増えて

しまって。


耳当ての装備を外した俺は聖女さんにハーフエルフである自分を受け入れて貰おうと、勇気を振り絞って彼女に近づいた。



魔法の竹ボウキを手に掃き掃除をしていた彼女は俺の顔を見てキョトンとした。俺は次に来る拒絶の反応に打ち震える。

やはり受け入れて貰えないんだろうか....。

人前では体裁が悪いから見せないで、なんてくらいは言われてしまうかも。


でも彼女は何事もなかったかのように俺にニッコリ挨拶をして、鼻歌を歌いながら掃き掃除を再開した。

唖然とした俺の何とも思わないのか?という問いにもそのままでいい、というような信じられない返事が返ってきた。


それどころか俺の耳なんかより、俺の突っ立ったまま動かない足元の落ち葉が気になって仕方ないらしい!


ッはは!聖女さん、いや、ミルフェ。君は最高だよ!

母さん、俺にもいたよ。ああ、いたんだ。いたんだよ。

こんなに可愛いくて、お掃除好きな、気にしない素敵な子が。



俺の不安はなくなった。



俺はその後、彼女ともっと親しくなりたい、距離を縮めたい、と思い、彼女をさりげなく観察する事にした。

相変わらず女の子が苦手な俺は正面切ってもっと仲良くなりたい、なんてセリフは到底言えやしなかった。それどころか彼女を目の前にすると、緊張して上手く言葉が出ないんだ。



「♪掃けたらいいな♪拭けたらいいな♪あんな奥♪こんな隅♪いっぱいあるけど~♪」


その日のお昼。ミルフェは今度は別の歌を歌いながら庭のテーブルでサンドイッチを頬張っていた。

もぎゅもぎゅとリスのように両頬をぷっくり膨らませているその顔も、楽しそうな歌声も天使のようだ。


でもミルフェ。キムチってサンドするものなのか?更にそこにマスタードを塗りまくって大丈夫なのか?え?食への過酷な挑戦に挑んでんのか?あ、美味しいの?あ、マスタード更に追加すんの?ええー。


とりあえずミルフェが激辛党なのは分かった。

結婚したら夕食の席で夫婦喧嘩になりそうだなぁ。

え!?結婚、ッて!何考えてんだ、俺!!!



夕方、ミルフェが彼女の部屋の前で侍女長と言い争っている声が響いた。彼女が怒るなんて珍しい事態だ。

一体何がーーーーー。


「でーすーかーら!これは受け取ったら最後、棺桶で最後尾をズルズル引きずられちゃうんですぅ~!!」


「ななな何をおっしゃっておられるのですか!聖女様ぁ!」


「そもそも手違いなんですよ!だってこんな贈り物、貰う理由が私にはないんです!」


覗き見ればミルフェの部屋の入口にカラフルなプレゼントの箱が山のように積み上がっていた。


彼女は今、この王宮で人気がある。

女神様に選ばれた聖女で人柄は保証されているし、生まれは裕福な領主家。加えてあの可愛いさとのんびりとしたつけ込みやすく見える優しい性格だ。

モテない理由が何処にも見当たらない。むしろ世界一。

だからあれはミルフェの気を引く為の下心満載な贈り物なんだろう。箱からして中身は豪華できっと身分高い奴ら達からの....。


「侍女長さん!お歳暮というシステムを知らないんですか!受け取ったら最後、同等返しですよ!更にお礼の電話をしようものなら、あっら~、まなゆちゃん、お元気~?そろそろご結婚のご予定はぁ?なんて、うっひぃー!な尋問事情徴収を長時間されちゃって、やっと解放された頃にはライフをゼロにされちゃうんですよ!棺桶にダイブです!!」


「お、オセイボ?聖女様、必ずしもお返しの必要はありませんよ、お礼のお手紙くらいで...。」


「いいえ!世の中タダよりお高い物はないんですぅ~、とにかく!!全部返してきますね!!」


ミルフェは本当に贈り物をすべて返しに行った。

地位や名声も求めず、お茶会やパーティー、王族からの招待も決して受けないと聞く。まさに聖女のような清廉な彼女。

でもふと思う。


彼女は、ミルフェはこの先の討伐の旅にピッタリペッタリ引っ付いて行くといつも俺に言うけれど。でも、彼女はもしかしたらこの安全な王宮で暮らした方がいいんじゃないんだろうか。


もともと危険な魔物討伐の旅に聖女が同行するなんて前代未聞だって誰もが言ってる。



俺もミルフェが危ない目に会うなんて絶対見たくない。




俺はーーーーーー。

ところで数え歌の八つ目が

分かる方いらっしゃいますか?


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