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最終話・やり直さない聖女とやり直した勇者


そうか私。女神様の使命を無事果たしたんだ!

良かった。すべて上手くいったんだね。


魔法の竹ボウキ君が笑い声を上げて光の粒子となり、天上の女神様の元へと帰って行ったのを見送った私は安堵した。


でも甘かった。

まさか次のベリル君の発言であんな事態になるなんて。


「そうそう。僕、魔王は辞めるけどキースには勝負を挑みたい。」


「「「え?」」」


「勝ったらミルフェを嫁に貰うね?だって掃除好きで可愛いし激辛好みは合ってて可愛いし寝顔はほにゃんとしてて可愛いし散財癖もなくて可愛いし怒ってても可愛いし結構胸はあって可愛いしのんびりしててとっても可愛いいからね!」


はええ?


「可愛い多いな!全くもってその通りだけど!!だが寝言は寝て言え!絶対にミルフェは渡さない!!ベリル、その勝負受けて立つ!!それとミルフェの寝顔と胸はジロジロ見るな!!」


「ちょぉぉッッッと待つんじゃーーー!!」


ふえ?ネイビーちゃん??


「わしはウッカリすっかり忘れておったがそういえば性別を変えれるんじゃった!!」


そう爆弾発言すると、頭の上ににょんっと生えている角から電撃のような光がパアッと出て、なんと!ネイビーちゃんは男の子の姿になった!!


うええええ???


「ミルフェが結婚して子供や孫が育つまで待つ事はなかったんじゃ!わしと結婚して子を産んで貰えばよいのじゃ。だからミルフェ、わしのお嫁さんになってくれぇーーー!!」


どええええええーーーーー!??


「だから俺のミルフェは渡さんと言ってるだろう!!」

「あははっ!この世界面白過ぎるよ!これだから勿体なくて魔王なんてやってらんないね!辞めて正解だね!!」

「勝負は何にするのじゃ!?山一つ壊す早さを競うかの?海柱を打ち上げる高さを競うかの?それとも寿命の長さで競うかの~?」

「いや、世界中の皆さんに大迷惑だろ!!ネイビーに有利過ぎるし!!そして寿命は勝負にならん!!」

「シンプルに激辛カレー大食い勝負なんてどう?」

「ソレ俺だけ不利だぁぁぁー!!」


えーーー、...と。うん。んーー。


こうして世界に平和が訪れた。


↑と、この辺にでもテロップさんを流しておいてっと。


庭園でもお掃除してこよ~と。じゃあ。みんな!ばいばーい。




*******



遥か彼方、白き天上の間。

光の玉座の女神は傍らに呼び戻した下僕、魔法の竹ボウキに語り掛ける。


「やり直しの歳月は如何であったか?お主の絶望は綺麗さっぱり消えたようじゃのぅ。勇者キースよ。」


「ああ。ありがとう、女神様。俺はもう大丈夫だ。闇に飲まれる事はもう決してない。寧ろ後悔している。種族を超えて信じてもらいたいのなら、俺も彼らのように損得なく人と向かい合い、心を開いて真剣に語り掛ければ良かったのだ。あの時の俺は視野が狭くなりすぎていた。確かに思い出せば理解しようとしてくれていた人はいたのだ。」


「そうか。それは上々。良き事よの。」


「女神様、聞きたい事がある。何故俺は竹ボウキだったんだ?別に嫌だった訳ではないが、普通は聖女の聖具といえば杖か宝飾品辺りだと思うんだが。」


「知らん。」


「?」


「我は聖女ミルフェリアの一番手に馴染み、愛着を持って肌身離さず持ち歩くのに好む武器となりうるもの、としか設定しておらぬ。つまりはあの聖女は心底に魂の神髄からの呆れる程のお掃除好き、という事よの。我とて流石に竹ボウキは驚いたぞ!」


「女神様すら予想外....た、魂の神髄からのお掃除好き...」


「して。他に聞きたい事はあるかの?」


「あ、ああ。その、俺はまた人として生まれ変わりたい!どんなに辛い事や酷い目に合うとしても、今度こそは諦めず、最後まで生き抜きたい!!だから。一度は闇に落ちかけた俺だが、再び輪廻の輪に戻る事は可能だろうか?」


「すまぬがそれは出来ぬ。何故ならばお主はまだ死んではおらんからのぅ。」


「え???」


「魔王と相打ちになり、絶望したお主の肉体は瀕死の処を我が全治させて眠らせておる。あの元の世界も時を止めたままじゃ。今から肉体とあの世界をお主に返すから戻るが良い。魔王を倒して世界を救ってくれた勇者にそれくらいの褒美があって当然であろう。精々あの聖女でも口説いてみるが良かろうて。だがな、元の世界の聖女はお主の知る3年を共に過ごしてきた聖女ではない。それだけは重々承知しておけ。」


「あ、ありがとう、女神様!!3年の記憶を持たずともミルフェはミルフェだ。魂を懸けて口説いてみせる!!」


「うむ。その心意気じゃ!!お主の幸運を祈ろうぞな。では、さらばじゃ!!」





*******





目を開けると曇天の下で自分の手を握り、必死で回復魔法を掛け続ける聖女、ミルフェリア・エーゲルの姿があった。


ああ。君だ。愛しい君だ。

3年の歳月がなくともその瞳の奥の魂は同じ。

初対面同然の俺の為に涙を流して嘆いてくれている。

土が付こうともお構いなしのワンピースのそのポケットには、洗濯挟みが無数にくっついている処も君らしくて。


だから。


「ミルフェリア・エーゲルさん。久しぶり。俺は勇者をやっていたキース。王宮で一度会ってるけど、君が俺の顔も名前も覚えてないのは知ってるよ。でもどうか覚悟して。俺はねーーー。」



      



       今度こそ俺は絶望せずに生きてみせるーーーーー



これで完結となります。

有休二日注ぎ込んで書きなぐった全15話冒険物語。

色々不足もあるかと思いますが楽しんで頂けたのなら幸いです。

最後のオチは予想通りでした?だから魔法の竹ボウキ君は最初喋りませんでした。(絶望していたので)


毎日更新はキツかったですが毎日お読み頂いた読者様も

途中からの読者様もありがとうございました~♪


追記☆なんだかランキングに入っちゃったので

調子に乗って番外編を書こうと思います。

書ききれなかったエピソードがあるのでそのうち

アップして行きますね☆


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