10・勇者パーティー要らなくね?
ネイビーちゃんはご飯を食べた後、勇者パーティーの魔物討伐冒険譚を聞きたがった。よしよし!任っかせーなさーい。とくと聞かせてしんぜよう♪
えーとね!勇者キース君は魔物と出会うと必ず左右のホルダーから両手剣をクルクルっと回してから構える、なんて笑っちゃうクセがあるんだよ。たまに取り落としてるね!
忍者ベリル君は敵をすべて殲滅するとパラパパッパラ~♪と何処からともなく出したトランペットを吹くの。この間、まだ息のあった大蛇の魔物に後ろから噛み付かれちゃってたね!
そして魔法の竹ボウキ君はね。戦闘後に“50点!まだまだだな”とか“満点!グレイト!!”とか偉そうに評価を付けるんだよ!
ふふっ♪みんなとっても面白いよね!
ネイビーちゃんは楽しそうに聞くうちにトロンと眠ってしまった。
使った食器を湖で洗おうと洞窟の外に出た処で泥だらけ、汗だくでゼーハーなキース君とバッタリ会った。
あ!忘れてた!私攫われてたんだっけ!!心配させちゃったかな!?
「ミルフェ!!」
あれれ?キース君にびっちりホールドで抱きしめられている。
「ッ無事で良かった!!君がどうにかなったらと、気が気じゃなかった...!」
おおおい、ぎゅうぎゅういってるよ!?
ちょ、仲間を心配してくれたのは嬉しいけど、ぐるちぃし、んん?キース君?うっかり顔が近いよ!?
んんん!?更にどんどん近づいて~、来るよぅ~....
そのまま私は酸欠で気を失った。
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《最近勇者を避けているな。どうした?》
魔法の竹ボウキ君が聞かれたくない事をズバリ聞いてきた。
あれから白竜のネイビーちゃんも何故か魔物討伐の旅に引っ付いて来る事になった。よほど激辛激貧スープが気に入ったんだろうか?
ネイビーちゃんはなんと!炎以外でも吹雪きや暴風のブレスを噴けるのだ。遠距離から魔物の群れは一掃出来るし、他にも大きな守護結界を張れるので戦いがとっても楽になった。
あれ?勇者パーティー要らなくね?
まあ、うん。考えちゃダメだよ、うん。
それによくよく考えたら今まで前進あるのみのアタッカーばかりの戦いだったね。うん。私達今までよく無事だったよ!
《おい!聞いてるのか?....あいつ、少し憐れだぞ。お前に嫌われたのかと落ち込んでいる。》
いやいやいや!嫌うなんて絶対ないよ!キース君はいい子だもん!!
相変わらずあまり喋らないけど、もう分かっているよ?
《いい子、か。憐れだな。まあ、まだこの先チャンスはあるのか。》
チャンス?何の???
《にぶっッ...!!!》




