第22話 助っ人なのかな?
ーー翌日
俺は近衛さんと何故か一緒に登校をしていた。俺は今でも夢なのではないかと疑っている。それと気まずいというか緊張して話せない。向こうもそれは同じようだ。嬉しいんだけどさ、ちょっとは考えて行動を起こそうよ。
そんな風に心の中で抗議する。いやー実に最低だな俺。そんなことを思っても喋れないのが悲しい。何で一緒に登校となると喋れないのだろうか。
喋ろうとしても喋れない中、まるで救世主のように、いや救世主が現れた。それは津田さんである。
「お、これは頼れるお姉さんと名高い津田 佳奈の出番ですね~」
「にやにやしてるのが驚くほどうざいな!それとお前は同級生だろ!!」
「いや、これでも二年生ですよ?」
「そ、そうだったのか。せ、」
「うっそ~~」
「うぜぇ」
今回は何故か異常にうざい。隣を確認すると近衛さんは心なしか嬉しそうだった。ハッ、まさか巷で噂のSという奴だろうか。それは困る。一番近いの俺だし絶対かなりの被害を受けることになるしな。
今まで黙ってしまっていた近衛さんが口を開いた。
「ま、まるで漫才みたいだな。プッ面白い」
「よかった」
俺たちのやりとりを見て面白がっていただけらしい。Sじゃなくて本当によかった。
「何が良かったのだ?」
その言葉を聞いてしまったと俺は思った。だってお前がSじゃなくて良かったとか相手に対して明らかに失礼だな。何か言い訳を考えなければ。言葉を詰まらせて微妙に気まずくなる。
するとまたもや津田さんが助け舟を出してくれた。
「喜んでくれてよかったんだよね~」
「そ、そうだ」
「そうか」
津田さんがウィンクしてきた。近衛さんも喜んでくれているようだしまあいいか。ただ、少し頬が赤くなっているのは気のせいだろうか。いや、気のせいだろうな。
もし、頬が赤くなっているとしたら俺を異性として意識してるということになってしまうからな。それはないだろう。
「いい加減に気づいたら?」
去り際の津田さんの言葉に俺はモヤモヤとしたものを抱いて登校した。




