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後書以前




 僕の一日はこうして、そこそこの奇跡を起こしたり。記憶に残らないくらいなにも起らなかったりしながら、日が暮れて必ず終わる。

 あるいは、それは僕だけに限った話ではないのかもしれない。

 誰しも、満足したり、不満を持ったり、何も感じなかったりしながら、一日というショートストーリーを終えて行く。

 毎日終わる。

 昨日も終わったし、今日も終わるし、明日も終わるだろう。

 でもそこで終わりじゃない。

 昨日の自分が罪を抱えたまま一日を終えたなら。今日の自分も罪を抱えて始まる。でも今日の自分は昨日の自分とは一日違う。今日を終える自分は、もう罪を抱えていないかもしれない。

 昨日の自分が誰かを好きになって一日を終えたなら。今日の自分も誰かを好きなまま始まる。でも今日の自分は昨日の自分とは一日違う。今日を終える自分は、もっと誰かを好きになっているかもしれない。

 明日からも僕は、いつものように、昼休みを独り、図書室で過ごすと思う。

 でも僕には、この世界のどこかに、どうしようもなく好きな人間がいる。

 その人間にも、いろいろあるのかもしれないし、いろいろあったのかもしれない。

 それでも僕は、その人間がどんな辛い思いをして生きて来たとしても。言いたい言葉があった。





   エレベーターで大人になったヒトたちが思い出すことのできない誰かに貰った夢の始まり



 ここには何の物語もない。


 誰かの一日が描かれていない。

 ボーイ・ミーツ・ガールもない。

 特別な日でもない。

 幼少期の思い出話はない。

 SF劇なんてない。

 命の大切さを説かない。

 遊ぶわけがない。

 切なくならない。

 ヒトが集まる場所じゃない。

 何かを振り返ることはしない。

 誰かと繋がりたくない。

 積み上げたものなんて、何一つない。


 ただの退屈な、僕の独り語り。

 僕にとって、この世界のどこかに、好きなものがあった。

 そのことに、僕の命は、多少なりとも救われている。

 それだけ。





 僕は、ここにある僕の命は、あなたの詩に救われています。と。





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