小さなお茶会
一マス空けることができました!
始終複雑そうなお顔で紅茶を飲み終えた国王様は、げんなりとした仕草でカップを戻しました。もしかしたら、国王様も蜂蜜をたくさん使いたかったのでしょうか? 私が一人であれだけの蜂蜜を使ったことに対して怒っていらっしゃる……?!
「飲み終わってしまったようね。マリア、おかわりを」
「だ、大丈夫だよルリリア! ありがとう、マリアさん」
少し苦笑いを浮かべつつ、国王様はやんわりとおかわりをお断りになりました。おいしくなかったのでしょうか。私はマリアさんがいれてくださる紅茶、大好きですが……。
私がしょんぼりしたのを感じ取ったのか、国王様は申し訳なさそうに微笑みました。窓から差す薄い光が国王様を包み込んでとてもきらきらしています。きれいですねぇ。国王様、時々よくわからない言動をする変た……いえ、ユーモア溢れる路線ではなく、 儚げな王子様路線で行けばきっと今よりおモテになるのではないでしょうか。
残念系王子様路線を突っ走っているのですかね。あ、でももう国王様ですから、残念系国王様路線ですね! ……なんだか頼りにならない国王様みたいで心配です。
「……国王陛下、お忘れですか」
そう国王様の後ろから囁いたのは、おそらく従者の方です。姿に見覚えはありませんが、なんだか聞いたことのある声と似ている気がしました。一体誰だったでしょうか。
「…ああ、そうだった! すっかり忘れていたよ。実はアリーシャに手紙を預かってきているんだ。別にわざとじゃないよもちろん」
「左様ですか。それは失礼いたしました」
ずいぶんと仲の良いご様子です。……うーん、わかりましたよ! この声はほら、あの方にそっくりです。どうやらお姉様もお気づきになったようですよ!
「マリア、人払いをお願い出来るかしら」
「かしこまりました、ルリリア様」
マリアさんが他の方と共に出ていきました。侍女の方々はそれはもう心配そうなお顔で私のことを見ていきましたよ。心配されなくとも、きちんと国王様とお話できます。もう淑女ですからね!
「では私も」
国王様の従者の方も出ていこうとなさりました。おふざけが好きな方ですよねぇ。楽しそうな声色がバレバレです。
「あなたはお待ちなさい」
「かしこまりました」
さてさて、お姉様は彼を呼び止めてどうするおつもりなのでしょうか?
あけましておめでとうございます!
『天然お姫様(※自覚なし)は恋愛に疎いです!』をどうぞこれからもよろしくお願いいたします。今年は更新回数増やします!
新作投稿しましたので、そちらも一読くださるとうれしいです。




