国王様をお出迎え
いっそヒューお兄様かデュークお兄様に託せばよかったのではないでしょうか。わざわざ国王様がお越しになる必要性が全く理解できません。
「寝起きぶりだね、アリーシャ! 忘れ物があったみたいだから」
にっこりと微笑んでバッグとうさぎを差し出した国王様は、とても輝いていました。キラキラが私にぐさぐさと突き刺さるような程の笑顔です。
「あ、ありがとうございます、国王様」
「うん。どういたしまして!」
五人の従者と、一人身分の高そうな方を連れて来た国王様は、私にバッグ類を渡した後、なぜかそわそわし始めました。
私、お礼を伝える以外にすることがあったでしょうか?
「えーと、アリーシャ、その……」
なんでしょう? お忙しいのにわざわざきてくださったのですから、何かお礼を差し上げた方がいいのでしょうか。それとも、国王様にも忘れ物が?
「お茶でも飲んでいってはどうかしら、国王様?」
「お姉様?」
突然聞こえたお姉様の声に振り向くと、扉の横には意地の悪そう、失礼、目を輝かせたお姉様が立っていました。お姉様に向かって意地の悪そう、なんて私ったら……まるでネズミをいたぶる猫のような目をしていたものですから、つい勘違いをしてしまいました。ごめんなさい、お姉様。
それにしても、国王様は喉が渇いていたんですね。お茶が欲しかったのなら、そう仰ってくださればいいのに……お忙しいと思ってお誘いしなかったのですが、逆効果したね。
「い、いいのか、ルリリア?」
「別に構わなくてよ。私も国王様に用がありますの」
なんだかお姉様がツンツンしています……言葉の節々に棘を感じますよ。大丈夫でしょうか……?




