ご乱心の国王様ー国王様視点ー
ルリリアがやってくるなんて! 突然の朝からの訪問が許されるなんてさすがラングー公爵家だ……。
アリーシャがルリリアと帰りたがっているのがよくわかった。でも、僕だってアリーシャといたいんだ!
「アリーシャ。僕、もっと君のことが知りたいんだ。だって僕、アリーシャのことを何も知らない。だから……一緒にいてくれる?」
せっかくアリーシャのことを朝一番に見れたのに! 起きたばかりのアリーシャはかわいかったなぁ。あんなアリーシャをずっと見てきたルリリアにはもう十分じゃないか! 僕は死ぬまで見続けても飽きない自信があるけどね!
だから、アリーシャを渡すわけには……!
ルリリアはちらりと僕のことを見てから、アリーシャの頬を撫でた。くっそぅルリリア! 僕だって女だったらアリーシャにベタベタ触れるのに!
「……リーちゃん。私、一日でもリーちゃんに会えないととてもさみしいの。だから、一緒に帰りましょう?」
「帰ります」
「えっ……ちょ、アリーシャ?! 僕と一緒にいてくれないの?!」
「はい。帰ります」
せめて悩んでよ! 即答やめて! 確かにルリリアより僕を選んでくれるなんて思ってなかったけどさ!
アリーシャのことだから残していくと国王様がかわいそう、とか迷うと思ってたのに……。
「国王様、リーちゃんはもらっていくわ。ふふ。まだ私の方がリーちゃんにとって大切なようね」
「ルリリア、僕は君のそういう勝ち誇ったような顔をするところが嫌いだよ」
「お生憎様。私はリーちゃんを好きになったあなたが大嫌いよ。ではご機嫌よう」
ルリリアの顔も嫌だけど、デュークラントの笑いをこらえてるような顔もむかつく! あいつなんてきっとアリーシャの思考にすら存在していないのに!
きらきらした瞳でルリリアを見つめているアリーシャ。その瞳に映るのが僕ならどれだけ幸せか! じいっとアリーシャを見つめていると、アリーシャはにっこりと微笑んだ。
「ご機嫌よう、国王様」
うわぁ鼻血ものだよ! 僕の前ならちょっと困ったように微笑むか、愛想笑い程度なのに……。それでもかわいいけど! ルリリアの前だとあんなに自然に笑えるの?!
うう……。
「国王様きもーい」
黙れ影!




