アリーシャの選択
ぐいぐい押し気味のお姉様と、儚いキラキラが眩しい国王様。異質な私からすればうらやましい限りです。
「アリーシャ。僕、もっと君のことが知りたいんだ。だって僕、アリーシャのことを何も知らない。だから……一緒にいてくれる?」
ことん、と首を傾げた国王様は、きゅっと私の手を握りました。悲しそうに見上げてくる瞳がまるで子犬のようで簡単に断ってはいけない気がします。やっぱり、国王様のもとにいるべきでしょうか……?
「……リーちゃん。私、一日でもリーちゃんに会えないととてもさみしいの。だから、一緒に帰りましょう?」
「帰ります」
「えっ……ちょ、アリーシャ?! 僕と一緒にいてくれないの?!」
「はい。帰ります」
お姉様がかわいすぎました。ごめんなさい国王様。私思い出したんです。国王様という身分とか、いかにもな王子様な見た目とか全く興味がないことに。心臓がおかしいと思ったのもどうやら風邪だったようですし……。
それに、私も社交界デビューしましたからいつでも国王様に会えますしね。せめてリリーちゃんに挨拶をしたかったですが、まだ時間も早いですし……。
「国王様、リーちゃんはもらっていくわ。ふふ。まだ私の方がリーちゃんにとって大切なようね」
「ルリリア、僕は君のそういう勝ち誇ったような顔をするところが嫌いだよ」
「お生憎様。私はリーちゃんを好きになったあなたが大嫌いよ。ではご機嫌よう」
お姉様は軽くドレスの裾をつかむと優雅に頭を下げました。私もお姉様にならって!
「ご機嫌よう、国王様」
泣きそうな顔をしていたって、戻る気はありません。




