寝起きのアリーシャ
……なんだか、とても懐かしいような香りがします。これは……国王様と似ているような……。
「……国王、様?」
「う……ん」
そっと目を開いてみると、薔薇が彫られた白い壁が目を入りました。どうやら私、寝ていたみたいですが、私の家のベッドはこんなに柔らかかったでしょうか? ふわふわしていて、心地よくて、そう、まるで──。まるで? 私はいったい何を想像したのでしょうか?
あのいい香りは、どうやら南側にある窓から香っていたようです。だって、名前はわかりませんが、白い愛らしい花が飾られているんですもの。きっとあれですね。
そういえば、さっき声がしたような気がしたのですが……?
「……アリー……シャ?」
「まあ! 国王様!」
驚きました! だって、私の寝ていたベッドの隅に、国王様が頭をもたれさせて寝ぼけ眼だったんです! まさか、一晩ここで過ごされたのでしょうか?
「……よかった! 元気になったんだね!」
「は、はい。おはようございます、国王様。一つお聞きしたいのですが、まさかずっとこの部屋に……?」
「え? そ、そうだけど……」
私が訊ねたとき、国王様が何故か顔を少し赤らめたかのように見えました。おかしいですね。やっぱり寝起きだからでしょうか。それより、国王様のお身体が心配です!
「毛布も掛けずにですか? そんな! 国王様がお風邪を引いてしまわないか心配です……」
「責められるかと思った……。あ、僕は風邪なんて滅多に引かないから大丈夫だよ。心配してくれてありがとう」
ぼそっと何かをつぶやいたようですが、聞き取れなかったです……。でも、うれしそうににこりと微笑んだ国王様はやはり麗しいです。
ところで、ここはどこなのでしょうか?




