違和感ー国王様視点ー
……どうしよう、アリーシャに風邪を引かせてしまったよ……。僕が外に連れ出して雨に打たれたのがきっと悪かったんだ……。医者を呼ぼうにもこの雨だし、アリーシャも嫌がった。
本人は自覚はなかったみたいだけど、抱きしめた時、とても体が熱かった。初めは僕に抱きしめられてドキドキしてくれたのかな、なんて考えたけど……アリーシャだもんね。うん、そんな訳ない。でも、アリーシャはやっぱり小さかったなぁ……。誰よりも大事に、何よりも優しく守りたくなる。
とりあえず睡眠薬を渡したけど、アリーシャにはきつかったかな? 舞踏会がある日なんかは頭が痛くて眠れなくなるから、今日はたまたま持っていたんだけど……。
「アリーシャ? ……眠ったかな。僕のせいだよね。風邪引かしたなんてラングー公爵家に知られたら、もうアリーシャに会えないかも……」
うう、恐ろしい。何か裏があるんじゃないかと考えてしまうほど、ラングー公爵家はアリーシャを大切にしている。それは確かにアリーシャが大好きだから、と言えば片付けてしまえるけど……。何か引っかかる。
「そりゃあねぇ。あの家族だもんね」
「影……わかってるよ。何か言われた?」
「ああ。リーちゃんに何かしたら……消してやるんだから、だってさ」
「そう……」
影のくせに器用に声真似までしちゃって。本当やめてほしい。アリーシャが風邪引いたなんて知られたら、その日のうちに城までやってきそうだ。
「それから、これはナスタシアからの伝言。姫様のそばにアクアマリンと白い香りの良い花、木苺を置いてください。鉄と火は近づけさせないで。って」
「……何故?」
「さあ」
おかしい。どこかで聞いたことのあるようなものばかり……。宝石と白い花、木苺? 木苺じゃなくて、木の実でもよかったような……。ううん、思い出せない。
「……用意してきて」
「はいはい」
アリーシャに関しては……ちょっと調べる方がいいのかもしれない。




