国王様の勘違い
こんにちは、国王様に抱きしめられたらままのアリーシャです。
やっぱり、普段から慣れていないからでしょうか。だって、お兄様やお姉様から抱きしめられてもなんとも思いませんもの。うれしいですよ? でも、慣れると反応するのも疲れちゃいます。
だからきっと、慣れていないからですね! 暖かさも匂いも、抱きしめ方も……全部違うんです。家族ではない男性でも、こんなに優しく抱きしめてくださるんですね。
「……よかった。アリーシャがナシュラに連れて行かれた時、ちょっと焦ったんだ。ナシュラってすぐ母親に報告するからさ」
第二妃様は親バカで、ナシュラの望む子を見つけたら絶対花嫁にするって言ってたからね。と国王様はきらめくような笑顔で言いました。あら……? 私、マリー様に紹介されましたよね?
「あ、あの、国王様……」
「アリーシャ、どうかしたの? 顔色悪いけど……もしかして、体調崩した?! 大変だ! すぐに部屋を用意するから!」
「え? 違うんです、その……」
た、大変です。国王様に誤解されてしまいました!
国王様は私を抱え直すと、物凄い勢いで走り出しました。周りの景色がびゅんびゅん流れて行ってどこだかわかりません……。でも、ナシュラ様のお姫様だっことは違って、まるで赤ちゃんのげっぷをする時のような格好です……。
「アリーシャの部屋を用意しておいて!」
「……へいへーい」
あ、影さんです! 帰ってきていたんですね。あの雨の中、無事に帰ってこれたようでよかったです。それに、国王様気づいていたんですね。影さんが帰ってきているって。
……そういえば、お姉様がくださったうさぎのぬいぐるみ、どこにあるんでしょう?




