鈍感アリーシャ
マリー様が安心してくださるよう、がんばろうと思っているアリーシャです。
「マリー様、私たち、出会ったばかりなんです」
「……お互いに一目惚れだよな」
「え? 違いますよ?」
突然、ナシュラ様がおかしなことを言い始めました。さっきまで落ち込んでいたように見えたのは、私の気のせいでしょうか。
でも、どうして私がナシュラ様に一目惚れしたことになっているのでしょう。まるで本当の女性のような姿のどこに恋をすればいいのですか?
あ、ひとつ言い忘れていましたが、ナシュラ様はまだかつらをつけたままです。マリー様の前だというのに、よろしいのでしょうか……。
「それに、お互いをよく知りませんし」
「……心がつながってるから言わなくてもわかるんだ」
「ナシュラ様は私の心が読めるのですか?!」
それは知りませんでした! すごいですね。私なんてお姉様の心も読めませんよ? ナシュラ様って不思議な力が使えるのでしょうか。でも……
「ナシュラ様のこと、別に知りたくもありませんし」
「……くっ! フォローできない!」
「もうおやめなさい、ナシュラ。見苦しいですよ。あなたたちの関係はよくわかりましたから」
マリー様は呆れ顔です。安心できなかったのでしょうか。
それにしても、ナシュラ様、いったいどうされなのでしょうかね。




