かわいい人ー国王様視点ー
アリーシャを待つ間、寒くて風邪をひくかと思った国王ことアルベルトです。
「寒い……。アリーシャ、もう着替えたかな……」
いつもなら断り続けそうなアリーシャが、今回は早くに身を引いてくれたから驚いた。そんなに寒かったのかな? ……そのほうが、僕も助かるんだけどね。
僕は男だし、アリーシャよりも四歳も年上もだから風邪なんてめったに引かないけど、アリーシャは女の子だもんね。今まで見たことがなかったから、きっと風邪とかあまり引かなくて、いざ引くとすごくつらいタイプ……だと思う。
あ、でも、アリーシャが風邪を引いたら、看病だって言ってラングー公爵家まで押しかけることもできるよね! ずっと付きっきりで看病していたら、アリーシャも僕のことが好きになるかもしれないし……!
「国王様! 着替え終わりましたので、少し離れてくださいませんか?」
「うん、わかった」
扉に肩を預けていた時に、アリーシャの声が聞こえてきた。どうやら着替え終わったみたい。
ガチャッ
「お待たせして申し訳ありませんでした。さあ、早く着替えてください!」
「アリーシャは心配性だなぁ。ちょっと待っていてね」
扉が開いた瞬間に頭を下げたアリーシャに、ちょっとだけ驚いた。女の子なのに案外早かったし、すごく一生懸命に謝ってきたから。
そんなアリーシャがすごくかわいい。デュークたちが隠していたのもよくわかるよ。
すごく寒いのに、アリーシャを見ると心が温かくなるんだ。




