エン……なんとかは回避です
今すぐ出て行けばならないアリーシャです。だって、国王様のためですもの。
国王様の強引さに少し驚きながらも、私は扉をあけました。……あけようとしました。でも、開きません! まるで何かが扉の目の前にあるかのように重たいです。
「国王様、扉が開きません!」
「……僕が押さえてるからね」
「まあ! 国王様、申し訳ありませんが、離れてくださいませんか……?」
「アリーシャが着替えたら離れるよ」
これはもしかして、先ほど国王様が仰ったエン……なんとかとかいうものではありませんか? これ、絶対に終わりが来ませんよね……。
「……では、急いで着替えます」
「えっ! ……うん、頼むよ」
国王様も、これがまだ続くと思っていたみたいですね。だって、折れるしかないじゃないですか。国王様に風邪を引かせたなんて……ラングー公爵家の恥になりかねません!
代わりの服は持っていますし、タオルは……?
「……タオルがありません」
いっそ濡れたままでもいいでしょうか? 何か拭けるものがあればいいのですが……。
ぱさり……
私がきょろきょろと辺りを見渡していると、どこかで音がしました! ……あ、机の上にタオルが。さっきまではなかったはずです。ということは……
「影さん、ですか? ありがとうごさいます」
きっと、そうですよね。
なんだか、うれしくなりました。




