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国王様の、影さんです

 お城に戻って来ました、アリーシャです。実際なら結構走っていたのですが、文章になると一瞬ですね。


「国王様、ここで待っていてください。誰か呼んで来ますから───」

「ちょっと待ってアリーシャ! 呼ばなくてもここにいるから大丈夫だよ」


 ここに。国王様が差したのは────天井? そんな所に人がいるとは思えません。あまりの寒さにおかしくなってしまったのでしょうか。


「……早く出てきてよ。アリーシャに変な目で見られるじゃないか」

「はいはい。申し訳ありませんねー、国王様? っと」


 天井がぱかっと開いて出てきたのは────素敵なきらめく銀色の髪と、不思議なオッドアイ。優しいピンクと神秘的なエメラルドブルー。とても整ったお顔。でも……全身真っ黒。それに身長が私と同じ!

 まるで子供みたいな人です。でも、どうしてか子供には見えません。うーん、なぜでしょうね。


「はじめまして、アリーシャ。君の影にはいろいろお世話になっているんだ。改めてよろしくって伝えておいてくれる?」


 にっこり。そんな効果音がつきそうなほど素敵な笑顔。

 

 『影』貴族の方には必ずついていると言われている、主人を守る人。お姉様やお兄様方の影は一度だけ見たことがあります。でも私には……いないと思います。一度も見たことがないんですもの。


「……あー、ごめん。もしかして影のこと知らなかった? うん、じゃあ今の話しは忘れてね。……で、アルベルトの服だよね。え、アリーシャの服だっけ? まあいいや。とりあえずアルベルトの服は……これ。アリーシャの服は……あ、落ちてきた。さんきゅー、ナスタシア」


 国王様のお召し物はオッドアイの影さんの鞄から出てきました。そんな大きな鞄に見えませんが……不思議ですね。

 そして私の服は天井から! ナスタシア……さん? にお礼を言っていたようですのでその方が持ってきたのかもしれませんね。さすが影さんです。


「さっさと服脱いで着替えてね。それからアリーシャは強制退場。君の家族が帰ってこいって」

「この雨で帰るなんて危険だよ。今日は泊まっていけばいいじゃないか。ね、アリーシャ」


 確かに……雨は激しさを増していますし、風も吹いているようです。でも、お父様たちが帰ってこいとおっしゃっているなら帰らないといけませんよね。……国王様の誘いを断って? あら、それはいけませんね。どうしましょう。


「ナスタシア、聞いた? 伝えておいてね、アリーシャの家族に今日は帰らないって。だーいじょうぶ。無事に返すからさ」


 なんだか……天井に向かって話す人って────あれですね。

 いえ、別に他人の方に難癖つける気はないのですが……その、ちょっと気になっただけですよ。


「えー、嫌なの? アリーシャから離れられないって? そんなの僕も同じだよ。僕にもアルベルトがいるんだから。……今度何かしてくれる? うんうん、仕方ないな~。僕が行ってくるよ。じゃあね、お二方!」


 どうやら国王様の影さんが私の家に向かうようですね。





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