おんぶです?
お友達って素敵なものですよね。
さっきまでは晴れていたのに、だんだん灰色の雲が広がってきました。
もしかしたら、雨が降るかもしれないです。
「なんだか雨が降りそうだね。……戻ろうか」
「はい……きゃあ!」
い、今空が光りました! 雷ですよ! ここにいたら雷に打たれるかもしれません……!
「早く戻りましょう、国王様!」
「アリーシャって雷苦手なの? ……かわいいなぁ」
に、苦手じゃないです……。ちょっと怖いだけです!
雷が鳴り出したのに、国王様はお城に戻ってくれません。もう雨が振り出しそうですよ。
ポツンっ
あ……振り出しました。まだ少ししか降っていませんが、きっと土砂降りになりますよ。急いで戻りましょう! でも、戻りたいのはやまやまなのですが、道がわかりません……。
「降ってきちゃったね。仕方ない、やっぱり戻らなくちゃ」
「そうです、国王様が濡れてしまいます。……ほら、もうこんなに濡れてますよ」
国王様のきらきらの御髪がぺっちゃんこです。雨に濡れていつもより輝いてますし。
残念ながら私のこの身長では国王様の御髪に触れられないんです。だから、整えることもできないんですよ。
「アリーシャの方が濡れてるよ。これ使って」
「そんな! 国王様が風邪を引いてしまいます!」
私の頭には国王様の黒のお召し物が。私は濡れなくなりましたけど、国王様がびしょびしょです! 白いシャツなので濡れているのがよくわかるんですよ!
「えー……うーん、そうだなぁ。だったら、はい、アリーシャ」
え? 国王様が私に背を向けてしゃがみました。これってもしかして……おんぶ、ですか?
「ほらほら、早くアリーシャ。アリーシャが僕の背に乗って頭にそれを被せてくれたらいいからさ」
「で、でも……」
「濡れちゃうよ?」
国王様って何かと人とひっつくのがお好きなんですね。さっきも私を抱えて走ってましたし、今もおんぶをねだってます。
そもそも、私が国王様におんぶされるのではなくて、国王様が私に服をかけるのを止めてくださればいいのに。そうすれば国王様も楽でしょう?
でも、国王様は譲ってくださらなさそうです。困りましたね……。
何かいい案はないでしょうか?




