幸せ者ー国王様視点ー
ラナンキュラスとクチナシなどの白い花が咲き誇る『ラルムダンジュ《天使の涙》』
ここは僕が手がけた庭の一つだ。白い花を主役に、少し幻想的な雰囲気が出るように仕上げたお気に入りの場所。きっとアリーシャも気に入ると思うんだ。
「ふう……もう大丈夫だね。ごめんね、アリーシャ。びっくりしたよね」
「い、いえ。ありがとうございました」
アリーシャってばかわいいなぁ。絶対僕を責めたりしないんだ。こんないい子、ナシュラやリリーが惹かれるのがわかるよ。でも、僕が初めに好きになったんだ! 誰にも渡さないよ!
あ、そろそろアリーシャを降ろしてあげないとね。父上に抱かれていた時も居心地悪そうにしていたから。ずっと抱きかかえていたから嫌われた、なんて笑えないよ。
「じゃあアリーシャ、降ろすからしっかり捕まって……うわっ!」
「お願いしますっ……もう少しだけ……」
アリーシャ?! アリーシャが僕のことをぎゅって! どうしよう、すっごく小さい! それにすっごくかわいい!
まさかアリーシャから抱きついてきてくれるなんて思わなかったよ。僕もアリーシャと離れたくないと思っていたからとても嬉しい! このまま死ねるね!
これって抱き返してもいいのかな? それともこのままそっとしておく?
「ア、アリーシャ……?! もしかしてついに僕のことが……?!」
「はぅぅ……。いい香りです……」
ごめんアリーシャ。僕には君の言葉が届かないよ。今とても嬉しいんだ! もしかしたら僕の片思いで終わってしまうのかと心配していたけど……不要だったようだね。
「何がきっかけかな? やっぱりさっき助け出したから? いや、もとから好きだったっていうのも考えられるよね! これはもう妃に迎えても大丈夫ってこと……?」
そう、アリーシャも僕に一目惚れっていうのもありえる話しだよね。お互いに一目惚れで婚約……運命だよねぇ!
僕のことをアリーシャから抱きしめてくれたんだから、アリーシャを妃にしても大丈夫ってことだよね? ね?
僕ってなんて幸せ者なんだ!




