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お気に入りーナシュラ視点ー

 アリーシャと国王様をまんまと逃がしてしまった二人は────


「……ったくアルベルトめ! アリーシャを独り占めするとかズルいぞ」

「そうよ! でもどうして私が追いかけようとしたのに止めたのよお兄様! まだ間に合うわ。行きましょう!」

「あー、無理無理。アルベルト走るの速すぎるから」


 リリーの無鉄砲なところはかわいい。唯一の長所だと思う。(誰がなんと言おうとしても長所だ)

 まだ幼いリリーに思慮深さを求めても意味がない。今は自由に過ごさせたいのだ。……大人になれば自由などなくなるからな。


「……アリーシャともっとお話ししたかったのに」


 アリーシャ……ね。アルベルトやリリーが気に入るのはわかるよ。俺だって気に入ってるし。まず見た目に惹かれるんだよなぁ……。ビスクドールっぽい見た目。

 全ての造りが小さく、どこか儚げで守りたくなるようなあの感じ。優しい微笑。夢のような存在……。

 俺たち王族がアリーシャのビスクドールのような見た目に惹かれるのには理由がある。……っとまあそれはどうでもいいことだな。


「また来てくれるかなぁ……。昔はよく……」


 ……リリーのテンションが一気に落ちた。しまったな。大切な妹にはいつも笑顔でいてほしいものだろ? ……なんてな。

 リリーはテンションが落ちるとブルーになる。無口になってまるで存在を消してしまうかのように。

 きっと毎日が退屈なのだと思う。城から出ることは出来ないし、リリーの場合は一日中部屋の中、ということも多々あるだろう。母上や父上は好んでそんな真似をしているわけではないのだが……。


 少し昔の話しを思い出す。リリーが三歳頃の話しだ……。あの頃のリリーは病気だった。決して治らないと言われた謎の病。この世界に存在する全ての物がリリーには有毒で、俺たちはリリーに会うことすらできなかった。だからきっと寂しい思いをしているだろう────そう、思っていたのに。

 たまに部屋の窓から見えるリリーは……とても楽しそうに笑っていたのだ。ただしそれは夜に限った。誰もが寝静まっているだろう時刻に、リリーはとても楽しそうに笑うのだ。まるで誰かと遊んでいるかのように。

 初めは辛さのあまりにおかしくなってしまったのかと思った。家族に何度も相談した。だが、毎日死にそうになっているリリーが唯一楽しめる時間だから、と皆見守っていたのだ。


「……お兄様、どうかしたの?」

「あ、いや……なんでもない」


 せっかく元気になったリリーの前でこんなことを考えるのは止めよう。今こうして目の前にいることだけで嬉しいのだから。


今回はちょっと、悲しいリリーちゃんの過去を。


いずれこの話しの続きは明かしますよ(^^*)


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