お助け
……ナシュラ様とリリーちゃん、元気ですね……。お二人ともずっと私に話しかけてくださるので、私ちょっと疲れてしまいました……。
「ねーねー、アリーシャ。アリーシャはどんな食べ物が好きなの?」
「甘いものなら何でも好きです。リリーちゃんは?」
「私は……マカロンが好き!」
リリーちゃんはマカロンが好きなんですね。かわいいリリーちゃんにぴったりのお菓子です。
「好きな動物はなんだ?」
「小さい動物……ですね」
「ふーん、ハムスターとか?」
「はい」
ハムスターとかですね。犬も猫も好きです。ナシュラ様は、動物に興味があるんですね。
でも、ナシュラ様にはライオンとかの神々しい動物が似合いそうです。
「好きな色は?」
「趣味は?」
「どんな本を読むの?」
「いつもどんなことしているの?」
……ふぅ。疲れます。お二人って国王様に似てますよね。たくさん質問してくるところとか……
とっても楽しいですよ? だけど、動くこともできないですし。
誰か私の手を取ってくれないでしょうか……。
「アリーシャ! ちょっとごめんね!」
「えっ、国王様?!」
国王様がソファーに埋もれている私に手を伸ばして────(国王様いらっしゃったんですね)
「アルベルト?! アリーシャをどこに連れて行くつもりだ!」
「そうよお兄様! どこ行くのよぉぉお!」
こ、国王様が……国王様が私のことをぎゅっと抱きしめて……! そして一目散に部屋から逃げ出しました!
とりあえずは助かりました。でも、でも……。こんなの恥ずかしいです! ナシュラ様とリリーちゃんが部屋の中で何か言っていますよ。すごーく大きな声です。というか国王様走るの速いですよ!
あっという間に部屋は見えなくなって、お二人の声も聞こえなくなりました。
部屋から離れたのに、国王様はまだ私を抱きしめたまま走りつづけています。
あ……国王様からフリージアの香りがします。鈴蘭に果物を足したような甘酸っぱい優しい香り……。
お待たせしてしまって申し訳ありませんっ!




