乱入者
国王様とナシュラ様がちょっと面倒くさく感じるアリーシャです……。
「アリーシャって丁寧だけどたまに悲しいこと言っちゃうんだよね……。さっきも好きじゃないです、って言われたし……」
「え、もしかして天然?」
「うん多分」
ごめんなさい、何て言っているか全く聞こえません。さっきからずっとあんな感じですよ、お二人とも。
うーん、なんと言うのでしょう。じめじめ……ですかね。ズーン、って感じです。ズーン。
どうせならソファーに座ればいいのに、部屋の隅っこの床にいるんですよ。私だけソファーっておかしいですよね。
本当なら今すぐ退きたいのですが……実は動けないんです。また以前のように沈んでしまって……。忘れていたんです。駄目ですよねぇ、私。
座り始めはよかったのですが、一時間三十分ほど身動きせずに座っていたものですからソファーが沈んでしまって……。どうしましょう。
「……おーにーさまー!」
「こ、この声は!」
「まさか!」
「「リリー!」」
リリー様……どなたでしょう? お声からしてまだ幼そうな女の子です。
走っていらっしゃるのでしょうね、ドタバタドタバタ音がしていますよ。
国王様とナシュラ様がすごい勢いで扉の方を向かれたので、きっとすごい方なんでしょうね。
今度はお顔が引きつっていますよ。
バンッ!
「ここねっ、お兄様! 婚約者が出来たってどういう……えっ?!」
「え? わ、私ですか?」
突然部屋に乱入して来た女の子は────まるで猫のような……かわいらしい女の子でした。




