うさぎの秘密
「どういうことだ……? 僕にはアリーシャが青い髪に見えるし、きちんと触れるのに」
「んー……。ちょっとこっち来て、お兄様」
ナシュラ様が少し考えるような素振りを見せた後、国王様に呼びかけました。こっち来て、とはなんなのでしょう? もしかして、見る場所によって私の姿が変わる……とかですか?
国王様が訝しげな顔をしてナシュラ様の下へ行きました。だんだん顔が変わってきますよ。
「……アリーシャの顔じゃない!」
「ね、お兄様」
うふふ、国王様の顔すごいですねぇ。ちょっとリアルになってますよ。驚愕! って感じですね。おもしろいです!
「な、ならこっち来てよ。ナシュラ」
「あ、本当だ。違う!」
国王様とナシュラ様って仲がいいですね。私の隣に来たり、正面に来たりして二人できゃっきゃっ言ってます。かわいいですねぇ。
あ、ところで私って動いてもいいのでしょうか?
「うーん、そのうさぎは何?」
「あ、これはルリリアが作った……ってああぁぁあ! これだ!」
こ、国王様?! 顔がさらにリアルですよ! そんな顔して私に近づかないでくださいぃぃ。
国王様は私の膝の上にあったうさぎのぬいぐるみをむんずと掴むと、私の後ろに投げ捨ててしまいました……。
ひどいです。そんな方だと思いませんでした。
……? ナシュラ様もすごい顔で私のことを見ていらっしゃいます。目が切れ長なので一見冷たく見えがちですが、こういうお顔をなされると親しみやすそうですね。
「なんだよこの子……! かわいいんだけど!」




