おかしなこと、
はい、人形化しているアリーシャです。国王様が次なる作戦に出ましたよ?
国王様が、今までは私のことをひたすらに婚約者だとおっしゃっていたのを変えてしまいました……。
それは、とあるご令嬢──名前は忘れてしまいました──との会話の話し……
「国王様、そちらの美しいビスクドールは……?」
「彼女は僕の婚約……者をモデルに作らせたビスクドールなんですよ」
「まあ、婚約者様がいらっしゃいましたの……」
国王様ったら、賢いですね。私を本当のビスクドールにしてしまうなんて!
ちらりとこちらを見た国王様のお顔、ニヤリと……失礼、にこりとしておられました。
……こうして国王様の『人形好き疑惑』はなくなり、代わりに婚約者をとても愛している、という結果になったそうですが……。
女王の地位を狙って国王様とお見合い(?)をしているはずなのに、婚約者がいるから諦めるなんて淑女である皆様は素敵ですね。
でも……このビスクドールの顔を見ても、誰も私と気づかないのは何故でしょう?
お見合い(?)に来たご令嬢の中には、パーティー会場で見かけた方もいらっしゃったのですがねぇ……。
「ふふふアリーシャ。君は分かっていないだろうけど、あれほどのご令嬢たちに君の顔を見せたんだ。……もう君は僕の婚約者だと周囲に認知されたんだよ!」
……いえ……。それはないと思いますよ? だって、誰も本当に私だとわかっていなかったんですもの。こんな気持ちの悪いグラデーションの髪、一度見たら忘れるのに苦労しますよ?
遠目からもわかるでしょうし……。
おかしいですねぇ……。




