人形化
はい、こんにちは! なぜか応接室で国王様の隣に座らされているアリーシャです。
さて……国王様はどうしたのでしょう。突然用事を思い出されて、私をつれて応接室に急いで行くなんて。
でも、ルリお姉様にもらった『整理券』なるもの! もしかして、これではないのでしょうか。
国王様はきらきらしてますものねぇ。女性達が会いたいのもわかります。私はご遠慮したいですが。
……国王様ってベタな王子様、みたいじゃないですか。ベタの何がいいのでしょう? やはり恋物語に皆様惹かれるんですね。
「ごめんね、アリーシャ。父上の計らいで女性達と話さないといけないんだ。いわゆるお見合い……みたいな感じだったんだけど、僕にはアリーシャがいるから一人ずつ断ることにするよ。だからそばにいてね」
えー……。お見合い、なさればいいじゃないですか。美しい女性がわんさかやってくるのでしょう? 国王様、全ての女性と男性を敵に回しましたね。
「お願いだから! ね、アリーシャ」
「はい……わかりました。でも、隣にいるだけですよ?」
「うん、もちろん────」
トントン
……誰かいらっしゃいましたね。早いです。
とりあえず、動かない物になりますかね。
あ、私程度の容姿ならビスクドールにもなれませんねぇ。だって、ビスクドールは雪の肌、薔薇色の頬と唇。優しい瞳、かわいらしい見た目が大切ですもの。
私の肌は焼けてますし、頬も唇もうすいピンク。おかしな目に、不細工とくるんですもの! ビスクドールに失礼ですよね。
だったら何がいいでしょう……?
……空気ってどうでしょうか!




