リーダー格のご令嬢
「はじめまして、アリーシャ・ラングーと申します。先輩方には迷惑をおかけすると思いますが、よろしくお願いしますね」
挨拶をするときは、はっきりと。そして笑顔で! ルリお姉様のお教えです。
こうして三人に近づいてみると、皆様美しいですねぇ。リーダー格のような方は真っ赤なドレスでハデハデですし、他のお二人も派手目なドレスで決めてます。
ドレスは派手ですが、猫目が魅力的ですし、すらりとした体系も素敵です。
「な、なによ! 文句でも言いにきたの?!」
「そそ、そうよ! ちょっとかわいいからって……」
「国王様に媚びを売っているくせに!」
まあ……。挨拶を返してくださらないなんて。少し悲しいですね。
でも、私が国王様に媚びを売っているというのはどういう意味なのでしょうか……?
別に媚びを売っているつもりはありませんし、売りたくもありません。
……あら、何か隣の方の空気が歪んでいる……? 何かつぶやいていますね。
「……僕の……僕のアリーシャを……」
国王様でしたか! 目が怖いです。今まではたれ目だったはずなのに、なぜかつり目になっていますよ! 器用ですねぇ。……あ、もしかして怒ってます?
「国王様、ごきげんよう。私、タナラス子爵家のラインと申します。ぜひ向こうでお茶を……」
「結構です、レディ。僕にはアリーシャがいますから。……さあ行こうアリーシャ」
リーダー格のご令嬢、ライン様と申しますのね。……知りませんね。きっとつい最近貴族になった方でしょう。そもそも、動きががさつです。
ドレスを摘まむ手はもっと流れるように動かさなくてはなりませんもの。それに、子爵家のご令嬢なら、国王様に話しかけることすら許されません。
この国は、厳しいのですから。
「はい、国王様。……ごきげんよう、ライン様」
もちろん、私はきちんと挨拶をしますよ? 当たり前です。いくら世間知らずな私でも、礼儀作法はしっかりと身につけてきました。私が何か粗相を起こせば、すべて他の人に行くことになるのですもの。迷惑はかけちゃ駄目です。




