お願い
お嬢様方の所まで行くのはちょっと面倒くさいです。だって、遠いんですよ。このドレスですし、動きにくいんですよ~。
あ、そうです。ちょっと疑問なんですが、どうして私達の周りだけ誰もいないんでしょう? まるで皆様避けているようです。
時折私と国王様を見て頬を染める方がいましたが、国王様って人気者ですねぇ。女性も男性も見ていましたよ。
それに、一部の方がこちらに近づいてくる時もありましたが、なぜか国王様を見て一瞬青ざめた顔をした後、そそくさと離れて行ってしまいます……。どうしてですか? 私、何かまずいことしました?
「あの、国王様。私、少し行きたい所があるのですが、行ってもいいですか?」
「もちろんいいよ。僕もついて行くからね」
「ぼ、僕は……?」
……あ、おじさまのこと忘れてました。どうしましょう。だって、ついて来られると邪魔です。
「おじさまはどうぞゆっくりしていてください。お疲れでしょう?」
「いや、疲れてはいないよ! ……あ、いや、うん。とても疲れていてね。休ませてもらうよ」
まあ、どうされたのでしょう? 突然焦ったように言い直されました。……ルリお姉様のうさぎを見て。一瞬、うさぎが動いたような気がしましたが、間違いですね。だって、ぬいぐるみですもの。
「で、どこに行きたいの?」
「はい、あの方達の所へ」
国王様が驚いているのが伝わります。まあ、驚きますよね。自分の悪口を言っている相手に近づくなんて、普通はしませんものね。
でも、行きたいのです。国王様、お願いですから!




