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いざ!


 家に着くまでの間、お兄様の質問が止まりません。誰か助けてください…。


「どの部屋にいるのかわからなくて迎えに行くのが遅かったよね、ごめんねリーシャ! 変な人に話しかけられたりしなかった?!」

「はい、国王様にお会いするまで誰にも会いませんでしたよ」

「そっかそっか、まあ陛下が一緒だったんだし人目につく道は通らないか…」


「ところでアルベルトに変なことは言われてない? 可愛いとか天使とかならまだ許してあげなくもないし事実だからそう思うのは仕方ないけど、結婚しようとか言われてないよね? 言われたならすぐに言って、二人で国外に逃げよう!」

「国王様ですよ、私程度の人間では国王様に釣り合いません」

「そんなことないよ。リーシャは可愛いし優しいし礼儀作法だって完璧だもん、家でいろんな本も読んでたから頭だって悪くない、きっとリーシャはこの国をもっとよくできるよ! あ、でも結婚は許さないからね!」

 

 お兄様…支離滅裂で何を言いたいのかあまり理解ができません…でもこの国の宰相という立場のお兄様が言うことなんですから、私の理解力が足りないだけなんでしょうか…?



 いつもより饒舌なお兄様に正直疲れていた頃、ようやく馬車が止まりました。どうやら家についたようです。

 ニコニコと嬉しそうに微笑むお兄様にひかれ馬車から降ります。あれだけお話してくださったのに一切疲れを見せないお兄様はさすがですね。


 デュークお兄様は国王様のパートナーを引き受けたことを許してくれましたが、ヒューお兄様は大丈夫でしょうか…心配です、でも、デュークお兄様が味方なら心強いですよ!


「おかえりなさいませ、デュークラント様、アリーシャ様」

「マリアさん! ただいま帰りました」

「ああ、ただいま」


 扉の前で待機してくれていたマリアさん…いつ私達に気づいたんでしょう? 帰る時間を伝えていたわけでもありませんし、馬車だってそこまで音を立てていないはずなんですけど…うーん、マリアさんがすごいんですね! きっとそうです。


「マリアさん、ヒューお兄様がどこにいらっしゃるかご存知ですか?」

「ええ、皆様首を長くしてサロンでお待ちですよ」

「わかりました、ありがとうございます!」


 私が家を出てから数時間が経っていますが、もしかしてずっとサロンにいたのでしょうか…?

 ああいえ、皆様がサロンにいらっしゃるなら探す手間が省けてとても嬉しいですよ!


 実は、ラングー家は少し変わっていて、使用人の皆様も自由にサロンを使っていいことになっているんです。だって、使用人もみんな家族ですもの。家族団らんで過ごすのに、広くてたくさんの思い出があるあのサロンはぴったりなんです。仕事がひと段落した使用人の方や、休憩中の方も大抵サロンで過ごすほど我が家で人気の場所なんですよ!


「じゃあ早速行こうか、リーシャ。もちろん、マリアもね」

「はい、かしこまりました」


 まあ、デュークお兄様ったら気が利きますね! マリアさんも誘ってくださるなんて、流石はデュークお兄様です。だってマリアさんったらずっとお仕事ばかりで滅多にサロンに遊びにきてくれないんです、休憩することも大切なお仕事だと私は思うのですが…無理強いはできませんからね。


 それにしても、マリアさんは本当に不思議な方なんです。尋ねられたこと以外は殆ど話しませんし、いつも笑顔を絶やしません。娘さんがいるはずですが、マリアさんは仕事を休むことがないため会っているところを全く見ませんし…。

 ラングー家に使えている大切な家族とは言え、プライベートなことに首をつっこむのは気が引けます。その家庭によって抱えている問題なんかも違うでしょうし…私からは何もいうことができないのが悔しいです。



 …暗い気持ちになってはいけませんよね! 今からお兄様を説得しないといけませんし、気を引き締めて参りましょう!





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