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天然お姫様(※自覚なし)は恋愛に疎いです!  作者: ももせ
2章 ガーデンパーティー
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お兄様の豹変


 只今、デュークお兄様と一緒に王宮をせかせかと、そう、せかせかと歩いております! いつものデュークお兄様なら、私の歩幅に合わせてゆっくり歩いてくれるんですよ。でも、今日はなんだか難しい顔をして大股で進んでいるのです。


 もしかして、お兄様は怒っていらっしゃるのでしょうか。生まれてこの方、お兄様が怒った姿なんて見たことがないので確信は持てませんが、そんな気がします。だって私が知らないお兄様なんて怒ってるお兄様くらいですもの。


 私、そろそろ疲れてきました。デュークお兄様ったら私の腕をしっかり掴んで離してくれないものですから、引きずられる形なんです。腕と足が痛いです。


「あの、デュークお兄様。も、もう少しゆっくり歩いてくれませんか?」

「えっ? ああ、ごめんねリーシャ! …ところで、アルベルトに何を言われたの?」


 デュークお兄様はばっと振り返ると申し訳なさそうに眉を寄せて、今度はゆっくりと歩いてくれました。でも、まだ難しそうな顔をしています。国王様のことがお嫌いなのでしょうか? いつものニコニコのデュークお兄様が恋しいです。


 きっと私のことをずっと走り回って探してくれていたのでしょう、整えたはずのお兄様の髪型は乱れ、着ていたはずのジャケットは羽織っておらず、シャツの袖は捲られていました。そういえば、私が迷子になった時に見つけてくれたのはいつもお兄様でしたね。心配性な優しいお兄様、私は結構好きですよ。


「お兄様、迎えに来てくださってありがとうございます」

「うん、どういたしまして。無事なのはわかってたけど、やっぱり心配だったから安心したよ…相手が相手だし…で、何があったの?」


 …誤魔化そうとしたの、バレましたかね? うーん、さすが宰相をしているだけあって鋭いです。お姉様の教えの通りちゃんと笑ったのにダメなんて…お兄様は急激な成長を遂げてしまったのかしら。


 ここは、正直に答えた方がいいのでしょうか。それとも、何も言われなかったと言った方が…? こんな時はお姉様です、確か…嘘つきは泥棒の始まり、と言っていたはず。ちゃんと真実を話さないといけませんね、泥棒は嫌いです。


 でもですよ、正直に伝えたらお兄様絶対怒りますよね。だってデュークお兄様、なんだか国王様のことがあまり好きではなさそうな気がするんですよ…なんとなく、ですけどね。あくまで妹の直感です、嫌いではないと思いますよ。だってお兄様、嫌いな人とはとことん関わらろうとしませんもの。


 まぁ、ここで悩んだ所で夜にはバレるのですから、仕方ないと言えばそうなんですよね…黙っていたら余計に怒ってしまうかもしれませんし、ヒューお兄様にも申し訳ないですし…やっぱりちゃんと伝えましょう。


「国王様に夜会のパートナーに誘われました。それから、お菓子もたくさんもらったんです」

「夜会のパートナー? もちろん断ったよね?」


 デュークお兄様のお顔が怖いです、やっぱり泥棒の方がよかったかしら…? だって、断ってないと伝えたらどんな顔をするのか想像できますもの。


 もう手遅れですけどね、ここで嘘ですなんて言っても意味無いですし。腹を括るしかないのですよ!


「いえ…お受けしました。だって、私はラングー公爵家の娘ですもの」


 そう、私はラングー公爵家の娘。国王様にお願いされたら断れるわけがありません。私がそんな勝手なことをすれば、家族の顔に泥を塗ることにもなりますし。


 これは断じて開き直りではありません、ただの事実です。お兄様だって国王様にお願いされたら断れないでしょう? だって相手は国王様なんですもの!



 デュークお兄様だって笑って許してくださるはずです…よね?


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