メリークリスマス!
!MERRY CHRISTMAS!
~クリスマス特別投稿~
(スペルあってる?)
国王様と出会ってから初めてのクリスマス。今年のアリーシャはまだ家族と過ごします…
……さあ、今年もこの日がやってきたのね……今日は一年に一度の『リーちゃんと二人っきりで過ごせる(かもしれない)』日! ……もといクリスマス!
私達家族、毎年この日を楽しみにしてるのよ。前日にリーちゃんが寝たか確認して、それぞれプレゼントを窓の前に並べておくの。次の日の朝はリーちゃんよりも早起きして(クリスマスのリーちゃんはすごく早起きなのよ……!)誰のプレゼントを一番喜んでいたかを競うの!
ちなみに勝敗の決定だけど、喧嘩にならないようにリーちゃんにはっきりと示してもらうわ。一番嬉しかったプレゼントのリボンをベッドにくくりつけるの。ね、これなら誰が一番だって揉めないでしょ?
それから、選ばれた人への褒美と言ってはあれだけれど、勝者はクリスマスをリーちゃんと二人っきりで過ごす権利が得られるの。まあ、リーちゃんは家から出ないし、敗者も外へ行かないといけない訳ではないから、実質二人っきりではないのだけれど。その代わりとして、勝者とリーちゃんが話している時や何かをしている時に邪魔をしない、というのがルールかしら。
参加者はお母様、お父様、お兄様方、私、ヘンリね。ヘンリは使用人代表者よ。ヘンリの用意するプレゼントは使用人全てからのプレゼントというわけ。お金も人数分集めればそれなりになるから私達と大差ないのよね……ここで差ができれば嬉しいのだけど仕方ないわ。
「うわぁ、ルリリア今年も早いね」
「あら、デュークお兄様。昨年よりも三分ほど早いじゃない」
「正確には四分だな。おはよう、ルリリア」
「おはようございます、ヒューお兄様。お兄様は毎年同じ時間ね」
リーちゃんが目覚める一時間前には私が、三十分前にはお兄様方が、そのあとすぐにお母様とお父様、ヘンリはぎりぎりにやって来るのが恒例ね。ヘンリは本当はもっと早く起きているのだけど、仕事があるから仕方ないの。
一応仕事で遅れるヘンリを考慮して、リーちゃんの部屋を覗くのは全員揃ってから、もしくはリーちゃんが起きてから。あら、ならどうして私が一時間も前から待機しているかですって? 決まっているじゃない! もしかしたらリーちゃんが一時間早く目覚めるかもしれないでしょ!
あ、言い忘れていたわ。待機場所はリーちゃんの部屋の隣よ。今日の日のためにわざわざ隣室を改造したのよ。リーちゃんからは見えないように、かつこちら側からは見えるようにね。
「みんなおはよう。今年も早いな」
「身体は冷やしていないかしら?」
「おはようございます、お父様、お母様。大丈夫よ、ヘンリが部屋を温めくれていたみたいだから」
忙しいのに申し訳ないわ。そろそろヘンリも来る頃かしら。でも……
「……残念。今年もヘンリは間に合わなかったわね」
だってリーちゃんが起きちゃったんだもの! ……どうしてわかったのか? 簡単よ、愛のちから! と言いたいところだけど、実際はちょっと耳が良いだけよ。私以外の全員も気づいているはず。
自然にリーちゃんが見える位置まで移動した私達。ああ、ドキドキする。もちろん選ばれるのは私のプレゼントだろうけど!
……一つ一つのプレゼントを大切そうに開封していくリーちゃん。開ける度に笑みを増していくリーちゃんがかわいくてかわいくて……! これはダメだわ。何がなんでもリーちゃんと二人っきりで過ごしたい……!
ああでも今年は難しいかもしれないわ。プレゼントに自信はあるのよ。でもそれはきっと他のみんなも同じだもの! 年々豪華になってくるのよねぇ。リーちゃんが勝者を決めるためにかける時間も長くなってきてるし……。
余談だけど、このイベントが始まったのは十年前からよ。今までの勝利数は、私が四回、お兄様方はそれぞれ二回、お父様、お母様はそれぞれ一回、ヘンリは零ね。この結果には満足よ。さすがにヘンリが可哀想と思わなくもないけど……でも、ねぇ?
だってリーちゃんと二人っきりよ? みんな真剣になるに決まってるじゃない! 選ばれた時の優越感! 敗者達の悔しそうな顔! リーちゃんと過ごす一日の楽しいこと! まるで夢のような一日なのよ……! 下手にプレゼントを貰うなんかよりもずっと幸せ!
大丈夫、きっとリーちゃんは私のプレゼントを選んでくれるわ!
――――――――――――――
……そ、そんな……! 嘘でしょ……リーちゃんが……リーちゃんが!
「まさかヘンリを選ぶなんて!」
「ほんとだよ! あーもう!」
「……ちっ」
あら、ヒューお兄様悔しそう……私のほうが悔しいけれど!
でも本当に意外なの。今年はお母様のプレゼントが選ばれると思ったわ。具体的に何をあげたのかは知らないけど、リーちゃんが他よりもずっと嬉しそうな顔をしたんだもの。それなのに……どうしてヘンリのプレゼントを選んだのかしら……?
「あらぁ残念ね……でも仕方ないわ。早くヘンリに伝えてあげましょう」
せっかくリーちゃんが選んでくれたのに、その場にいられなかったなんて可哀想な男! 今日くらい仕事を休みにしてもよかったかしら……と言ってもヘンリは休みたがらないでしょうけど。
「ヘンリが来たら何をプレゼントしたのか問い詰めてやるわ!」
今年は譲ってあげる。でも来年は絶対に私がリーちゃんの一日を頂くんだから!
「今年こそヘンリからのプレゼントを選べたんでしょうか……クリスマスの日のまで必死に働いてくれている皆様にお休みを差し上げたいといつも思っているのですけど……上手くいかないんですよねぇ」
え、リーちゃん? 大丈夫よ、リーちゃんは私達が競ってるって知らないんだから! そもそも私達がプレゼントをおいていることすら知らないと思うわ。ちょっと抜けてるところもリーちゃんの魅力なのよ!
毎年こんなイベントが行われていることを知った国王様
「ええ?! なんで僕のこと誘ってくれなかったの?! ていうか教えてよ!」
「そりゃあ敵が増えるのは嫌だし~教えてって言われなかったし?」
「……待って、その言い方なんか引っ掛かる……もしかしてお前も参加したの?!」
「うんもちろん。ヘンリ枠でね」
「あああむかつく! お願いアリーシャヘンリのプレゼントは選ばないで!!」




