アリーシャの欲しいもの
国王様とのお話はまだまだ続きます。きっと私に謝ったことで少し気が楽になったのでしょう。先程よりも肩の力が抜けているように見えます。
「あの、さ、アリーシャ。アリーシャにとって政略結婚って何?」
「そうですね……家同士の繋がりをさらに良くするため、愛のない者同士で結婚すること、でしょうか。悪いことではないと思いますよ!」
「あ、愛のない者同士……」
あ、でも、政略結婚した後に相手の方と恋に落ちるというパターンも少なくないそうですよ! 昔はかなり年の離れた方と結婚なさる方もいらっしゃったそうですけど、今の時代ではありえません。なんでも、三代前の国王様が年の差があまりにある政略結婚をかなり嫌っていたそうで……当時の女性から大きな支持を受けたそうですよ!
「……まあ、それは今はどうでもいいんだけど! そう! どうでも! いいの!」
「は、はい」
「僕が無理に婚約を迫った訳だし、できる限りアリーシャの要望を叶えたいと思ってるんだ。だからなんでも言ってくれていいよ!」
「な、なんでも、ですか……?」
「うん!」
いい笑顔ですね国王様! うーん、要望と言われましても……正直思い付きませんよねぇ。
こんなことを言ってはあまり良い印象を持たれないでしょうけど、大抵のものは持ってますし、手に入れることだって難しくありません。なにせ公爵家の娘ですしね!
あ、もちろん過度な贅沢はしていませんよ?! 領地に住んでくださっている民の方々の生活は安定していますし、むしろ他の地より少し贅沢な暮らしが出来ているそうです!
孤児は少ないですし、餓死もほとんどありません。軽い怪我や風邪等はそれなりの施設へ行きお金を払って頂いていますが、治りづらい病や多額の手術費が必要な場合は家が全てのお金を支払うので生活に影響が出ることもありません!
ちなみにですね、さすがに民の方々から頂く税金だけではそんなこと出来ないですよね。では何で補っているか……ふふ、実はお姉様の素敵な発明品ですよ! なんでも特許というものを取っていらっしゃるそうで、お姉様だけにお金が入ってくるんだとか。
最近聞いてしまったのですが、お姉様曰く『もうすぐ期限が切れるわ……絶対にコピー製品が出回るでしょうし、早い内にもっといいものを作らなきゃ……』だそうです。これを話していたお姉様のお顔が少し怖かったことをよく覚えています。色々なものを発明しつつ社交界も完璧にこなすお姉様は、私の憧れです!
でも、お部屋に籠ったまま全く出てこないお姉様を見るととても不安になるんですよねぇ。完成した後のお姉様のお顔があまりに嬉しそうなので、私は何も言えないのですが。
「アリーシャ? おーい、アリーシャ?」
「っ! あ、申し訳ありません国王様! ええっと、私の欲しいもの、ですよね」
「うん! ……あ、お金のことは気にしないで! 僕がコツコツ貯めてたのを使うからね!」
国王様もお金をコツコツ貯めるんですね! 少し意外です。だって国王様ですよ? 贅沢し放題じゃないですか!
ううーん。欲しいもの、欲しいもの……ドレスや装飾品は十分というほどに持っていますし、強いて言うならお菓子が欲しいですけど食べ過ぎると体型の方が少し……気になりますし?
かと言って他に思い付きませんよぉ……正直なところ、欲しいものなんてないんです。今で十分ですからねぇ。あ、でも寂しい時に話し相手になってくださるお友だちが……そう、お友だちが……お友だち!
「国王様、私お友だちが欲しいです!」
「わかった、お友だちだね! ……ってえ、お友だち……?!」
「やっぱり物の方がよかったですか……?」
「あ、ううん! 大丈夫、大丈夫だから!」
「そうですか! それはよかったです」
よかったぁ。私思えばお友だちがいないんですよね。なにせガーデンパーティでお友だち作りが出来ませんでしたから!
……おじさまのせいだとか思ってませんよ?
あ、今回はそこまでギリじゃなかった……よかった。
もうすぐテストなので、しばらく更新はおやすみしますね…
次回更新は十二月二日になります……!
※もしかしたら合間合間にちょこーっと更新するかもしれません。もしかしたら!ですよ!




