真剣なお話…?
影さんに助けを求めて後ろを振り返ると、いつのまにか影さんはいなくなっていました……が、このままでは埒が明かないと思ったのでしょう。まあ座りなよ、という国王様のお言葉に私たちは素直に従いました。
あ、このソファーはあれですよ。座ると沈むやつです。危険です。
「ああ、アリーシャはそのクッションを使うといいよ。沈むアリーシャもいいけど、大事なお話だからね」
「! はい、ありがとうございます」
というわけで、現在私の背中にはこれまたふかふかのクッションが敷かれております。ソファーほどではないので調度いい感じですよ~。さすが国王様ですねぇ。
タイミングが良すぎてちょっと驚きましたけどね!
「まず……アリーシャ、今回のことは本当にごめんね。僕が迂闊だったよ。まさかアリーシャだって突き止められるとは思わなくて……アリーシャの人生を滅茶苦茶にしてしまったこと、本当に申し訳ないと思ってる」
……国王様、そんなに思い詰めていたのでしょうか? 先程抱きついてきた時のような明るい雰囲気ではなく、本当に悲しそうな表情です。
でも、私一応は理解しているんですよ。私がお姉様に、国王様と面会するための券を頂いた時点で、私と国王様が婚約する可能性が零ではなかったということを。
だって、公爵家の娘ですからね。私が婚約するとなれば、その相手は同じく公爵家か位を一つ下げた侯爵家、もしくは国王様だったでしょうし。なら問題なんて無いんじゃないでしょうか? 国王様が謝る必要ももちろんありません。
「あのね、アリーシャ。アリーシャが考えてること、なんとなくだけどわかるよ。でもそうじゃないんだ。だって、アリーシャは選べる立場にいたんだから」
「選べる立場、ですか?」
「うん。アリーシャは次女だからね。ルリリアさえ位が釣り合う相手と婚約すれば、それでよかったんだ。そうなればアリーシャは、君の望む人と婚約することだって不可能じゃなかった……でも、その機会を僕が奪ってしまったんだ」
……なんとなくなら、わかる気がします。でも、やっぱり国王様のご意見には納得できないです。国王様はきっと国王様なりの理由があったはずなのにと、そう思うのです。
「……国王様。私は、国王様との婚約について嫌なことなんて一つもありませんよ。だって、政略結婚で一度も会ったことのない方とご結婚する方もいらっしゃるんですよ? その点私は幸せでしょう?」
そう、幸せなんですよ。国王様は出会ったばかりの私にとても優しいですし、王家の方々も素敵な方ばかりです。これ以上何を望むというのでしょう……?
「せ、政略結婚ね……ええっと、アリーシャから見てこの婚約は政略結婚……なのかな?」
「はい、そうですよ?」
「あ……うん、そっか。そうだよね、うん気にしないで!」
政略結婚以外の何ものでもないと思うのですが……?
ああ、またも危ないそして短い。
出来れば明日更新したいところですが…予定では金曜日になりそうですかねぇ。




