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アリーシャのお腹事情とお兄様


 お兄様って案外勇気のある方ですよね。だって前とはいえ国王様であったおじさまに、あんなふうに意見するんですから。不敬罪で囚われてしまわないか少し心配です。


「そもそもリーシャが国王に嫁ぐ予定なんて未来永劫ないですから!」

「王宮の者は皆アリーシャを迎えるつもりだよ。アリーシャもそのつもりだよね? だって婚約したし」

「は……はぁああ?! ちょ、ちょっと待ってよ! なんで! 僕そんなの知らない!」


 あら? お兄様には伝わっていなかったみたいですね。まあ婚約してからまだ数時間ですし仕方ないですけど……。


 でもそれにしたってお兄様……ちょっと反応が怖いです。両手で自身の頭を掴んだかと思うと、しゃがみこんでしまいました。あ、今度は立ち上がっておじさまに掴みかかりました! ほ、本当に不敬罪で捕まってしまいますよ……!


「なに、リーシャに何したの。脅したの? ああ……これだからリーシャを社交界なんかに出させたくなかったんだ……!」

「いや社交界デビューは貴族の義務だよ」

「義務? そんなのもの廃止してやる」

「……デュークが言うと冗談に聞こえないよ?」

「冗談は嫌いです」


 お兄様……社交界デビューを廃止するのはちょっと難しいのでは……? あまりおじさまを困らせるのはよくないと思います……


 でもなぜでしょう。必至にお兄様を宥めているおじさまを見ると、まるで威厳というものを感じられな……いえ、えっと、親しみやすさを感じますね! まるでお兄様に相手にされていな……ではなく、幼い頃からの仲であるかのように振る舞うお兄様はさすがと言うかなんと言いますか……ああ、そろそろお腹が空いてきました。おじさまの前でお腹がなってしまう前にお昼ご飯を頂きたいです……。


「デューク。リーシャがお腹を空かせています」

「ヘンリ?! ち、違うんです。お腹が空いているなんて嘘ですよお兄様!」


 は、恥ずかしいです! ヘンリったらなんてことを! うう……


「……リーシャ……気づかないひどい兄でごめんね。リーシャが珍しく赤くなってかわいいって思ってる兄を許して!」

「おじさまも同じこと思ったよ! 許して!」

「私は思いませんでしたよ。リーシャ、デュークと昼を過ごすのは時間と労力の無駄では?」

「え、ヘンリ何言ってんの? リーシャのかわいさが分からないとか目ちゃんと見えてないんじゃないの?」

「……デュークこそ目が悪いのでは? リーシャはご立腹ですよ」


 ヘンリの言う通りです。私は怒っています! お兄様もおじさまもひどいですよ!

 私は恥ずかしかったのに……かわいいってなんなのでしょうね……お兄様の感覚、ちょっと疑ってしまいます。目が悪いのもお兄様だと思います。おじさまは悪ふざけが過ぎますね。


「あ……えっと、リーシャ? ご飯にしよっ……か」

「いいえ、もう結構です。お兄様の休憩時間はおしまいですよ。ほら、仕事に戻ってください。がんばるお兄様は好きですけど、お仕事を放り出すダメなお兄様は嫌いです」


 そんな泣きそうな顔したってダメです。もう今日はお兄様とお話しません。お兄様の後ろで大笑いしているおじさまなんて私には見えてませんよ!


 ……ふう。怒ると余計にお腹が空きますねぇ。


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