意外な一面ー国王様視点ー
アリーシャが婚約者のふりをしていたことが周りにバレちゃってたみたいで……うん、少しだけ焦ったよ。本音を言うとすごくうれしかっ……じゃなくて。
なにせ父上が突然引退したから、僕たちはすごく焦ったんだ。国王になるための教育だって受けている途中だったし、そもそも僕かナシュラ、どちらが国王になるか決められていなかったしね。……まあ、ナシュラは国王になるつもりなんてなかったから、半ば無理やり僕が国王になったんだけど……。
うん、まあそれは今は関係ないけど。今言いたいのは、僕たち王族には、誰も伴侶がいないっていうこと。国としては結構重要なことみたいで。未来がかかってるしねぇ。
だから、みんな何かと僕たちの恋愛事情を気にかけてるんだ。それが原因でアリーシャに迷惑をかけるなんて……ダメだよね!
いやでも……このままアリーシャが婚約者になってくれるとうれしいんだよね。正直言うとね、アリーシャがその……好きだし。もし婚約者になって城で暮らすなんてことになったら毎日顔が見れるし、変な虫がつかないようにもできるし……。いいことだらけ!
ま、いいことだらけなのは僕だけだし、アリーシャはきっと嫌がるよね……。なによりルリリアとか、さ、うん。でもなぁ。婚約者になってほしい。なってほしい! 頼んでみる……?
……よし!
「まず、謝らせてほしいんだ。……ごめんね、アリーシャ。昨日僕が自分勝手な理由で君に無理をさせて。しかも、それが原因で僕と婚約させられて……いやだよね。……でも。でももし君がいやじゃないって言ってくれるなら……なら、このまま僕の婚約者になってもらってもいいかな……?」
言った! 言っちゃったよ! うわぁ怖かった。ルリリアすごく怒ってるよね。目が怖いよ、目が。
断られるのも怖いし、ルリリアも怖いし……。なんだか自信ないなぁ。でも大丈夫。断られるのはわかってるから! はじめからわかってるからそんなに傷つかないよね? ね?
それより、アリーシャきっとすごく困った顔をしてるんだろうなぁ。……って、あれ? アリーシャ?
「国王様、そんなお顔をなさらないで。国王様は、国王様なんですよ? この国で一番偉いんです。だからどうか、自信を持って。臣下である私に、そんな風に頼んではいけません。あなたはいつだって前を見て、自身の発言に誇りを持つべきです」
え……ええ?! アリーシャだよね?! え?!




