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天然お姫様(※自覚なし)は恋愛に疎いです!  作者: ももせ
4章 アリーシャの帰宅
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国王様、プロポーズする


 きっと国王様は、迷ってはいけないのです。いつだって自身の正しいと思う道を進み、民を幸せへと導く……それが、国王様のするべきことではないでしょうか。恐らく、それは何より難しいのでしょうけど。



 私は、国王様からのお願いを断る気はありません。それは国王という位についているから、だとか、女性のなかで一番の地位に就きたいから、なんていう理由ではありません。


 ……国王様のことを、信頼しているからです。もし婚約することになっても、国王様は私になんて見向きもしないでしょう。常に国のことを、民のことを考えて行動できる。そしていずれ最愛の人を見つける。……そうなれば私は、この国の誰よりも潔く身を引くことができると思うのです。きっと、国王様の幸せを一番に願うことができるのだと。


 だから、国王様には迷ってほしくありません。冷静に、悲しいくらいに打算的に、私と婚約することを告げてほしいのです。そうすればきっと、別れる時に悲しくないですよね……? ああ、これは政略結婚なのだと、そう思うことができるなら、きっと。


 だからでしょうか……私を気遣う国王様の思いが、つらい。いっそ高飛車に言い放ってくだされば何も思わずに了承できると言うのに……。ふぅ。どうして、こんな苦しくなるんでしょうね。はっきり言って、国王様なんてどうでもいいじゃないですか。婚約しようがしまいが、きっと国王様と深く関わらないでしょう? なら、私もあんなことを言わずに、放っておけばよかったですね……。


 でもどうして、こんなに国王様のことが気になるのでしょう。



「……そっか。そうだよね。ごめんね、アリーシャ。自分の婚約者になるっていう男が頼りなかったらいやだよね。……うん。もう大丈夫。アリーシャがそんな風にびしって言ってくれると思ってなかったよ」


 ふと、目線を下げていた国王様と目が合いました。……なんだか、すっきりしたようにも見えます。


「ねえ、アリーシャ。もう一度言わせてくれる? 絶対に君を大切にするって誓うから。だから、僕と婚約してください」


 大切に……? 恋愛感情はなくとも、誰かにそう言っていただけるのはうれしいですね。

 それに、私も女の子だからでしょうか。こういうシーンは、夢見ちゃいますよね。


「……はい、国王様の役に立てるよう、私もがんばりますね」


 真剣に告げてくださった国王様に、気がつけば返事を返していました。



 ……でも、私が国王様と婚約する理由っていったい……? 意味、ないですよね? あら?



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