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a night and day  作者: co
7/11

 やはりダメだった。

 原田は綺麗好きなのだ。

 君島を右のベッドと思われる大型の置物に放り出し、整頓だけだ、と働き始めた。

 本格的にはやらない。

 物の居場所を決めるだけだ。

 しかし始めた時点で朝方だった。

 終る頃にはすっかり日が昇った。


 君島は時々唸りながら泣きながら寝返りをうち、原田はぶつぶつ文句を言いながら掃除を終えた。

 飲み物でも貰おうと冷蔵庫を開けるが、先月の日付の牛乳が飲みかけであるだけ。

 腹が立つ。

 掃除機もない。

 洗剤もない。

 ぞうきんもない。

 粗品のタオルを3本つぶした。

 それでもこの程度。


「おい。もう帰るぞ。鍵開けっ放しだからな」

 どうせ聞こえないだろうといつもの低い声で言った。

「……ろしてやる……」

 原田側に寝返りをうって、君島が呻いた。

「……くしょう……」

 そう呟いてまた涙を流した。

 原田はそれを眉間にシワを寄せて見下ろしていた。


 君島の部屋から出てバイクを発進させ、なんとなくコンビニに寄る。

 原田はため息をついて、インスタントのシジミ汁を手に取った。


 君島はあの小ささでも充分目立つ。

 それは気の毒だ。

 あんなハゲに迫られるくらいならでかい方がいい。

 しかし俺ならあんなところでハゲに裸を見せることは絶対ない。

 いや別に危険だから裸にならない訳じゃないが、俺には起こらない事件だ。

 君島が油断したせいとは言わない。

 君島もハゲに迫られるつもりであそこに行った訳でもない。

 この手の犯罪は完全に加害者が悪い。

 たとえ君島が素っ裸で転がっていても、手を出す方が100%悪い。

 ただ用心できるならしないのは損だ。

 自分が損なわれる。

 それだけだ。

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