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a night and day  作者: co
10/11

10

 硬直の取れた「浅井さん」と原田は二三会話をして、まだ驚いている「浅井さん」にまた本を渡そうとした。

 しかしその「浅井さん」は急に吹き出し、原田が顔を顰めていると、君島の所に連れて行けと言い出した。

 もちろん原田は速攻で断った。

しかし、

「五千円出す」

「いや……」

破格だな……

「一万円」

「……」

大金だな……

 またしてもこのパターンで押し切られる。


 嫌だなぁと思いながら、一万円か。

 当分ガソリン代に困らない。

 などと計算する。


 しかし初めて乗せる相手でしかも女。

 横座りなんかしたらどうしよう。

 と思っていたらちゃんと跨いだ。

 なんにしても、振り落とす可能性もある。

 原田は安全対策にヘルメットを渡した。

「私が被るの?」

「飛ばしますから」

 ほぼ初対面の「浅井さん」に俺の人生を台無しにされたくもない。


 君島のアパートに着き、「浅井さん」を部屋に追いやり、原田はタバコを吸おうと思った。

 そういえば今日一本目だ。

 と、火をつける前に返されたヘルメットを見て、咥えたタバコを落としそうになった。

 ……内層のスポンジガードに、ファンデーションが付いている……。

 手で顔を覆い、タバコを箱に戻し、君島の部屋に向った。

 ドアを開けたところで、あ、ここには洗剤がないんだったと思い出す。

 何から何まで腹が立つ。

 そこに君島の泣き言が聞こえた。


「好きでこんな顔なんじゃないのに……」


 むかつく。

「顔だけで僕は、差別されるんだ……」

「まだ言ってんのか。いい加減正気に戻れ。鬱陶しい」

 まったく鬱陶しい。

 お前のせいで俺のヘルメットが汚れたんだぞ。

 なにか仕返しをしてやりたい。


 ……あ。そうだ。

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