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その3『第一王子と話がしたい、もしかしたら俺の知らない第二王子の秘密を知っているかもしれない』

 

 鉄格子が軋む音が地下牢に響き渡った。


「面会だ。少しだけだぞ」


 看守の声に俺は顔を上げた。面会?処刑前日に誰が俺に会いに来るというのか。


「ガイ、無事か」


 薄暗い牢の中に入ってきたのは、騎士団長のアーサーだった。


「ああ、このとおり元気だ。明日の朝には首がなくなるがな」


 苦笑する俺に、アーサーは複雑な表情を浮かべた。


「お前が頼んだとおり、第一王子に伝えておいた。だが…」


「どうした?」


「第一王子は快く承諾された。すぐに来られるそうだ」


 俺は眉をひそめた。なぜそんなに簡単に?弟を殺したとされる男との面会を、なぜ第一王子は承諾するのか。


「気をつけろ、ガイ。何か裏があるかもしれん」


 アーサーは低い声で言った。


「わかっている。だが、これが最後のチャンスだ」


 第二王子レオ殿下の殺害。それが俺の罪状だ。王国でも五指に入る実力を持つ暗黒騎士である俺が、なぜ王子を殺す必要があったのか。王族の命を狙えば国家反逆罪となり、処刑は免れない。そんなことは百も承知だ。


 あの日、急な呼び出しで王子の私室へ向かった。ノックをして、返事がないまま扉を開けた時、王子はすでに床に倒れていた。胸に突き刺さった短剣から血が広がり、赤い絨毯はさらに濃い色に染まっていた。


 その瞬間、衛兵たちが駆け込んできた。状況証拠は完璧だった。王子の部屋で、死体の前に立つ俺。手には血が付いていた—扉のノブについていた血を素手で触ってしまったのだ。


 裁判とは名ばかりの茶番劇の末、判決は「明日の朝、斬首刑」。


 俺の頭の中で考えが渦巻いた。


「誰が王子を殺したのか」


 第一王子ガレスか?王位継承権を確実にするため?

 宰相ベリルか?いつも王子の改革案に反対していた老獪な政治家だ。

 はたまた、隣国の刺客か?


「第一王子との面会だ」


 別の看守が現れた。アーサーが出ていき、代わりに第一王子ガレスが入ってきた。


「ガイ殿、久しぶりだな」


 第一王子は優雅に牢の中の椅子に腰を下ろした。第二王子レオとは違い、ガレスは繊細な顔立ちをしている。レオが武勇に秀でていたのに対し、ガレスは頭脳派と噂されていた。


「殿下、時間がありません。私は弟君を殺してはおりません」


「知っている」


 淡々とした返事に、俺は目を見開いた。


「なら、なぜ…」


「証拠がないからだ。お前が無実だと私が信じても、証拠がなければどうにもならん」


 ガレスは眉間に皺を寄せた。本当に弟の死を悼んでいるようにも見える。


「弟は何か秘密を抱えていませんでしたか?誰かと対立していたとか」


「宰相ベリルとは政策で対立していたが、それは公然の事実だ。秘密となれば…」


 第一王子は少し考え込んだ。


「殿下、私は死を恐れてはいません。ただ、真実を知りたいのです」


「真実か…」


 ガレスは立ち上がり、牢の中を少し歩いた。そして、俺に背を向けたまま言った。


「城には知られざる通路があると聞いたことはないか?」


 俺は息を呑んだ。王城の隠し通路。騎士団の間では噂になっていたが、実際に見た者はいない。


「噂程度には」


「それは噂ではない。先王の時代に作られた秘密の通路だ。王族しか知らないはずだったが…」


「弟君の部屋にもそのような通路が?」


 ガレスはゆっくりと頷いた。


「だが、それを知っていたのは私と…」


 そこで彼は口を閉ざした。


「他に誰が知っていたのですか?」


「言えん。証拠がないのだ」


 俺は焦りを感じた。時間がないのだ。


「殿下、弟君に近しい人物は?恋人とか…」


 その言葉に、ガレスの表情が一瞬変わった。


「レオは…メイドのひとりと親しかったようだ」


「メイド?」


「ミレイという名だったか。美しい娘だった。先月突然姿を消した。レオの死の少し前に…」


 その時、牢の外から声がした。


「時間です、殿下」


 ガレスは立ち上がった。


「ガイ殿、私も真実を探している。だが…」


「殿下、隠し通路の場所を教えてください。アーサーに伝えるだけでも」


「それは…」


 ガレスは迷っているように見えた。だが、再び外から声がかかる。


「殿下、宰相がお待ちです」


「わかった」


 ガレスは牢を出る前に振り返った。


「真実は必ず明らかになる。だが、それはお前が生きて見ることはないだろう。申し訳ない」


 そして、彼は去っていった。


 ---


 夜が明けた。処刑の時間だ。


 俺は檻から連れ出され、処刑場へと向かった。


 脱出するのは簡単だ。俺が本気を出せば、この鎖など簡単に断ち切れる。だが、そうすれば真実は闇に葬られる。


 処刑台に上がると、群衆が広場に集まっていた。


 第一王子ガレスと宰相ベリルも前列に立っていた。ガレスの表情には複雑なものがあった。宰相は冷静に、ほとんど無表情で俺を見ていた。


「暗黒騎士ガイ、汝は第二王子レオ殿下を殺害した罪により、斬首刑に処す」


 処刑人が読み上げる。


 その時、俺はアーサーを探した。彼は群衆の中にいた。悔しそうな、そして何かを悟ったような表情をしていた。


「メイドのミレイを探せ…」


 俺は声を出さずに口だけでアーサーに伝えた。彼が小さく頷くのが見えた。


 隠し通路。メイド。第二王子の秘密。全てが繋がりかけていた。


 だが、時すでに遅し。


 処刑人が斧を持ち上げた。


「真実はまだ…」


 斧が振り下ろされる音が聞こえた。


 そして、闇。


 ---


「ミレイという名のメイドか…」


 処刑の翌日、アーサーは城内を調査していた。


「先月突然姿を消したというのは本当のようだ」


 彼は第二王子の私室の壁を調べていた。何かがあるはずだ。隠し通路の入口が…


「アーサー、何をしている?」


 振り返ると、宰相ベリルが立っていた。


「調査です。第二王子殿下の死の真相を」


「もういい。犯人は処刑された。王国の平和のためだ」


 宰相は厳しい目でアーサーを見た。


「ミレイというメイドをご存知ですか?」


 宰相の表情が一瞬硬くなった。


「知らん。城のメイドなど数十人いる。全ては把握していない」


 アーサーは宰相の目を見つめた。そこには何かがあった。恐れか?それとも別の感情か?


「調査は終了だ。新しい暗黒騎士の選定に集中しろ」


 宰相は言い残して去っていった。


 アーサーは壁を見つめた。隠し通路。メイド。全てが何かを指し示している。だが何を?


 ガイは死んだ。真実はまだ闇の中だ。


 ―終―

プロンプト『

『断頭台に向かう三分前』~処刑が決まった暗黒騎士の俺だがベストエンドのフラグは建てられるのだろうか~。俺は暗黒騎士ガイ。第二王子殺害の罪で投獄された。今日は俺の処刑日。脱出するのは簡単だ。俺が本気を出せば、こんな檻造作もなく壊せる。だが、誰が王子を殺したのか。あの日、急な呼び出しで王子の私室へ向かった。ノックをして、返事がないまま扉を開けた時、王子はすでに床に倒れていた。胸に突き刺さった短剣から血が広がり、赤い絨毯はさらに濃い色に染まっていた。

その瞬間、衛兵たちが駆け込んできた。状況証拠は完璧だった。王子の部屋で、死体の前に立つ俺。手には血が付いていた—扉のノブについていた血を素手で触ってしまったのだ。

裁判とは名ばかりの茶番劇の末、判決は「明日の朝、斬首刑」。

俺の頭の中で考えが渦巻いた。

「誰が王子を殺したのか」

第一王子か?王位継承権を確実にするため?

宰相か?いつも王子の改革案に反対していた老獪な政治家だ。

はたまた、隣国の刺客か?

俺の選択:第一王子と話がしたい、もしかしたら俺の知らない第二王子の秘密を知っているかもしれない。

このプロットを元にミステリーファンタジー短編小説を書いてください。

展開:バッドエンド。第一王子と話すガイ。しかし、第一王子はなにか秘密を隠している。俺は城に隠し通路があるという噂を知っていた。騎士団員にとって有名な噂だ。王子は少し口をすべらしてしまう。それは第二王子がメイドと仲がいいという事実。

登場人物

・暗黒騎士ガイ:物語の主人公。第二王子の腹心。第二王子殺害の罪を着せられる。実力は王国でも五指に入る。

・第二王子レオ:殺害された第二王子。正義感が強く、知力武勇とも王に相応しい。

・王城騎士団長アーサー:ガイの戦友。

・宰相ベリル:いつも第二王子の改革案に反対していた老獪な政治家。

・第一王子ガレス:表向きは王位継承権一位。王子の部屋に隠し通路があることを知る人間。

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