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その2『真相を究明しなくては、俺は信頼する騎士団長に相談をした』

 

 鉄格子が軋む音が地下牢に響き渡った。


「暗黒騎士ガイ、お前の処刑の時間だ」


 看守の声は無感情だった。死刑囚を連れていくのに慣れているのだろう。


 俺は冷たい石の床から立ち上がり、両手の鎖を見つめた。これを壊すのは簡単だ。魔力を少し集中させれば、この檻など造作もなく壊せる。


 だが、それは選べない道だ。


 第二王子レオ殿下の殺害。それが俺の罪状だ。王国でも五指に入る実力を持つ暗黒騎士である俺が、なぜ王子を殺す必要があったのか。王族の命を狙えば国家反逆罪となり、処刑は免れない。そんなことは百も承知だ。


 あの日、急な呼び出しで王子の私室へ向かった。ノックをして、返事がないまま扉を開けた時、王子はすでに床に倒れていた。胸に突き刺さった短剣から血が広がり、赤い絨毯はさらに濃い色に染まっていた。


 その瞬間、衛兵たちが駆け込んできた。状況証拠は完璧だった。王子の部屋で、死体の前に立つ俺。手には血が付いていた—扉のノブについていた血を素手で触ってしまったのだ。


 裁判とは名ばかりの茶番劇の末、判決は「明日の朝、斬首刑」。


 俺の頭の中で考えが渦巻いた。


「誰が王子を殺したのか」


 第一王子ガレスか?王位継承権を確実にするため?

 宰相ベリルか?いつも王子の改革案に反対していた老獪な政治家だ。

 はたまた、隣国の刺客か?


 脱出するのは簡単だ。だが、それでは真実は闇に葬られる。


「真相を究明しなくては」


 俺は決断した。看守が見回りに来た隙を見て、小声で頼み込んだ。


「アーサーを呼んでくれ。王城騎士団長のアーサーだ」


 看守は怪訝な顔をしたが、少しの金貨で動いてくれた。


 ---


「ガイ、お前は何を考えている?」


 アーサーの顔は疲れていた。親友が王子殺しの罪に問われ、その処刑を見届けなければならない立場。彼にとっても辛い日々だったろう。


「俺は王子を殺していない。信じてくれ」


「裁判では全ての証拠がお前を指している」


「だからこそ、真相を究明しなくては。アーサー、お前には調査権がある。王子の部屋を再調査してくれ」


 アーサーは眉をひそめた。


「何を探せばいい?」


 俺は思い出そうとした。あの瞬間、王子の部屋で見たもの。


「王子の手に何か握られていなかったか?短剣が刺さった角度は?窓は開いていたか閉まっていたか?」


 アーサーは首を振った。


「ガイ、これはただの推測だ。証拠もなしに動くことはできない」


「では、王子の日記は?最近誰と会っていた?第一王子ガレスや宰相ベリルとは?」


「王子の日記は見つからなかった。そもそも書いていたかどうかも…」


 時間がなかった。夜が明ければ、俺の命はない。


「頼む、アーサー。何か見落としがあるはずだ」


 アーサーは長い沈黙の後、ため息をついた。


「わかった。できる限りのことはする。だが、約束はできない」


 ---


 夜が明けた。


 看守が再び現れた。


「時間だ」


 アーサーは戻ってこなかった。何か見つけたのだろうか?それとも、やはり何もなかったのか?


 俺は檻から連れ出され、処刑場へと向かった。


 空は晴れ渡り、皮肉にも美しい朝だった。


 処刑台に上がると、群衆が広場に集まっていた。公開処刑は民衆の見世物だ。


 その中に、第一王子ガレスと宰相ベリルの姿があった。


 ガレス王子は厳かな表情で立っていたが、その目には何か—憐みか?それとも後悔か?—が宿っていた。


 宰相ベリルも同様だった。老獪な政治家の表情からは何かが滲み出ていた。知っている。この二人は何かを知っている。


「暗黒騎士ガイ、汝は第二王子レオ殿下を殺害した罪により、斬首刑に処す」


 処刑人が読み上げる。


 その時、群衆の中からアーサーが駆け込んできた。彼の顔には焦りがあった。


「待て!新たな証拠が—」


 だが、彼の声は群衆の騒めきに消された。


 処刑人が斧を持ち上げた。


 最後の瞬間、俺は第一王子と宰相の顔を見た。二人とも憐みの表情で俺を見つめていた。真実を知っているのは間違いない。


「殿下、私は貴方の弟を殺していない」


 俺は第一王子に向かって叫んだ。彼の顔が強張る。


 斧が振り下ろされる音が聞こえた。


 そして、闇。


 ---


「ガイの最期の言葉が気になる…」


 処刑の翌日、アーサーは王城の廊下で第一王子に呼び止められた。


「彼は無実だったのですか?」


 ガレス王子は窓の外を見つめ、答えなかった。


「調査の結果、王子の部屋から隠し通路が見つかりました。そして…」


「もういい、アーサー」


 宰相ベリルが割り込んできた。


「死者に鞭打つな。王国の平和のためだ」


 アーサーは二人の顔を交互に見た。そこには何かがあった。真実に近いもの。だが、もう遅すぎた。


 真実の糸口は見えたが、それを解き明かす者はもういない。


 暗黒騎士ガイの汚名は、そのまま歴史に刻まれることになった。


 ―終―

プロンプト『

『断頭台に向かう三分前』~処刑が決まった暗黒騎士の俺だがベストエンドのフラグは建てられるのだろうか~。俺は暗黒騎士ガイ。第二王子殺害の罪で投獄された。今日は俺の処刑日。脱出するのは簡単だ。俺が本気を出せば、こんな檻造作もなく壊せる。だが、誰が王子を殺したのか。あの日、急な呼び出しで王子の私室へ向かった。ノックをして、返事がないまま扉を開けた時、王子はすでに床に倒れていた。胸に突き刺さった短剣から血が広がり、赤い絨毯はさらに濃い色に染まっていた。

その瞬間、衛兵たちが駆け込んできた。状況証拠は完璧だった。王子の部屋で、死体の前に立つ俺。手には血が付いていた—扉のノブについていた血を素手で触ってしまったのだ。

裁判とは名ばかりの茶番劇の末、判決は「明日の朝、斬首刑」。

俺の頭の中で考えが渦巻いた。

「誰が王子を殺したのか」

第一王子か?王位継承権を確実にするため?

宰相か?いつも王子の改革案に反対していた老獪な政治家だ。

はたまた、隣国の刺客か?


俺の選択:真相を究明しなくては、俺は信頼する騎士団長に相談をした。


このプロットを元にミステリーファンタジー短編小説を書いてください。


展開:バッドエンド。ただの推測だけでは何もできないアーサーはそういう。ただガイは処刑される。処刑される間際で、宰相と第一王子の顔が見えた。二人とも憐みの顔で俺を見ていた。真実に近い何か知っているかも知れない。解決の糸口が見つけられたが不完全燃焼で物語は終わる。

登場人物

・暗黒騎士ガイ:物語の主人公。第二王子の腹心。第二王子殺害の罪を着せられる。実力は王国でも五指に入る。

・第二王子レオ:殺害された第二王子。正義感が強く、知力武勇とも王に相応しい。

・王城騎士団長アーサー:ガイの戦友。

・宰相ベリル:いつも第二王子の改革案に反対していた老獪な政治家

・第一王子ガレス:表向きは王位継承権一位。

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