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相談
結城は世界中で自分1人しか気が付いてないこの事実を早く誰かに得意気に話したかった。
しかし、迂闊に口を滑らせると消されると考えていたため、人は選ばなければいけない。が彼には、その信頼に足る友人のたった1人すら居なかった。
「なんで俺なんだよ…」
どうしようもないほどの無力感と消失感が結城を襲った。冷えたおにぎりを頬張る。
「マズ」
衣食住あるのが当たり前になった今の時代。贅沢な文句、人間の欲望が尽きる事は永遠に無いのだろうなどと考えながらおにぎりを食べ切った。
後日、最寄りの警察署に向かった。打つ手なしの結城にはもうこの方法しか残されていなかった。
結城の戦略はこうだ。まず爺さんに貸していた物を返して欲しい旨を伝える。なぜ警察なのかと問われれば、遺品物の回収の際に持っていかれたと答える。
そこで暫く愚図れば、担当していた刑事を呼び出せるだろうと考えていた。
《爺さんの死の真相を知っている》
コンタクトが取れたらこの紙をそっと渡す。あとは流れでなんとかする。そうこう考えていると到着した。自動扉が鈍い音で歓迎してくれる。