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もうお分かりいただけているであろう私の夢見がちな理想とは、お互いにお互いが帰る場所となり心から思い合い世界1幸せと思えるようになり、はちみつ入りココアのように甘い愛で大切にしてくれる人と、心をまるで温泉につかっているかのような温かさでリラックスさせ時々はのぼせるほど熱くなり、無理に笑わそうとしなくたって一緒においしいものを食べたり飲んだりしながらただ隣にいるだけで笑顔を取り戻せるような関係を築き、どんな時も私らしくいられる相手と恋をする。
まさに詰め込みすぎたおせちの重箱のような理想。家族のおかげなのか、それとも家族のせいなのか。
片方だけでは意味がないと私は思っている。そしてそれはより難しいことなのだろうとも思う。
だから私は恋愛経験がないまま。
けれど璃美は違う。心のときめきに耳を傾け従う。
そんな彼女を素敵だと思うし彼女のように心を躍らせたいと思う。
まあ残念ながら中学生の頃の璃美の恋は長くは続かなかったし
私は1度も彼氏ができないままだった。
こんなに頭でっかちみたいになってしまった理想を持つ私がこの高校生活の3年間で
たくさん悩み迷い、それでも傍にいたいと思えるそんな恋ができるのか。
なんの予感もないけれど、そんな未来があったら宝物にしようと思いながら
「私も恋がしたいな」
と、璃美に返事をした。