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「ねぇ美春、彼氏ができたらダブルデートしようね」
そんな璃美の言葉に意識をほかに向けていた私は驚き、静かに目を瞬かせた。
「えっと、彼氏?好きな人もいないのにちょっとすっ飛ばしすぎだよ」
あまり乗り気に感じられない私の言葉に璃美は
「私たちの親は学生恋愛で結婚してるし、美春のお姉ちゃんたちだって高校の頃の彼氏と続いてて1番上のお姉ちゃんは婚約したじゃん!憧れちゃうし期待も大きくなるって!」
と何故か興奮したようなテンションで語り始めた。
「無理やり好きな人を作ろうとかじゃないの!ただ恋愛も一緒に楽しめたら最高だと思うの」
眩しいほどのまっすぐなその目と言葉に私は目を細めながら仕方ないなというように笑った。
そう、私の周りには恋愛があふれているけれど私は幼稚園の初恋という微笑ましいエピソードしかないほど恋愛からは遠いところにいた。
言い訳のように聞こえるかもしれないけれど私の見た目はそんなに悪くはない。
特別かっこいいわけではないがパッチリお目目の父とミスコングランプリに輝いたことのある母の間に生まれた私たち4姉妹は見た目には恵まれている方だと思う。この両親から生まれたらそうだろうとも思うくらいには。
じゃあ性格が悪いのかと思われるかもしれないけれど、それに関しては普通の15歳だと思う。
そんな私が恋愛してこなかった理由はただ1つ。夢見がちであるから、に尽きるだろう。