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瞳の先にあるもの  作者: 望月 葵
フィランダリア・ヴァルハラ編
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第六十四話

※書き下ろしなので、誤字脱字や展開など、今後内容が変更される恐れがあります。ご了承下さい。

 グランとカレンの機転によって何とかフィランダリア王国に入国出来た一行。アマンダは変わらず横たわっており、魔女二人が面倒を見ている。

 その後、グランはサンプサを通してヘイノたちに状況報告を約束し、将軍も情報屋を中心として情報提供をすることになった。

 なお、魔法師サークの兄弟であるアークとホークもやり取りや遂行のために加わり、彼らはグランたちの補佐を上空から行うように指示される。

 休憩をした後、ヘイノたちは、荷台にしばらく付き添ってくれたグランの部下にお礼を言い、別館へと出発する。

 「ええっと。別館への道は」

 「何でえ坊主。知ってんじゃなかったのかよ」

 「いつも空とんでるから、最近までしらなかったんだよ」

 「調べてこなかったワケ」

 「調べてきたって。見慣れてないだけだっつーの」

 と、御者台に座りながら地図とにらめっこしている情報屋。方角は合っていても、馬車が通れる道がなければ意味が無い。

 『このまま真っすぐ行けばいいの?』

 「そーだな。さっきの分岐点がここ、ってぇっ」

 驚いた情報屋は御者台から落ちてしまう。慌てた御者は馬を止め、車輪の外へと回った。

 「だ、大丈夫かい。車輪に巻き込まれてないかいっ」

 「いってて。だ、大丈夫ちょうど下にはいったみたい」

 と、匍匐ほふく前進をしながら、何とか荷台の外へ自力で脱出する。

 『ご、ごめんなさい。大丈夫?』

 「いやいや、それオレのセリフだし」

 「? 私は何も言っていないが」

 と、御者。ライティア家に長く仕えている者の一人だ。

 はっとした情報屋は、服に付いた土を払いながら、

 「あー、えーっと。実はここにアマンダがいて」

 「うん? アマンダ様は荷台におられるよ」

 「なな、なんつったらいーのかな。それは肉体でさ。ハンナァ」

 「寝てるわよ~」

 「こんなときにかよっ」

 「何だ何だ坊主。頭でも打ったのかよ」

 「違う違う。ちょちょ、ちょっと待って」

 子供は大急ぎで荷台の布をめくる。御者の言う通り、アマンダは横たわっているのだが。

 「どーなってんだよコレッ」

 「分からん。いきなりスーっと出て来てな」

 「顔色よかったから、そのままにしたのよ~」

 「すんなよ。超ビビったんだけどっ」

 「き、君達。何の話をしているのかね」

 「アマンダの魂が体からぬけてお散歩してるって話~」

 「そうか。散歩、えっ」

 さすがのヘイノも目が点になってしまう。彼の表情が面白いのか、半透明のアマンダは将軍の隣でクスリと笑っている。

 『動けなくてヒマだから、お出かけしたいです』

 「肉体から離れぬ方が良い。ハンナが起きるまで荷台から離れぬ様にな」

 『そ、そうですよね。ただでさえ心配かけさせてますもの』

 「あんた、何ともねーのか」

 『少し眠いぐらいね。本当はずっと前から意識はあったのよ』

 「すまんが説明してくれないか。君達はアマンダと話しているのかい」

 外にいる者たちも覗き込んでいる。頭を抱えた情報屋は、ありのままを話すことにした。

 「危険は、無いのだな」

 「大丈夫よ~。何かあったら、体のほうもおかしな症状が現れるから~」

 「私達も学んで来てな。だから問題ないぞ」

 「そうか。魔法師にしか見聞き出来ないとは残念だが。アマンダ、無理はしないでくれ」

 魂は彼の左隣にいるのだが、ヘイノは体に向かって話し掛ける。会釈をした意識体の彼女の視線は、黒髪のほうに向けられると、

 「髪色が似合ってる、と言っている。フィリア様に似ているとな」

 「はは。そうか」

 久しぶりにアマンダと会話した気分になったヘイノは、思わずほころんだ。

 珍事件後、一行は道に迷うことなく目的地へとたどり着く。王族が使用する建物だけあり、周囲は厳重だ。

 ヘイノが対応すると、高さ数メートルある門が、ゆっくりと開く。一行が入口に到達するとき、一人の執事が立っていた。最敬礼をし、先頭を歩いていたヘイノは敬礼をする。

 「お待ちしておりました、というのはいささか妙ですが」

 「ふふ、難しいシチュエーションですよね。エスコ殿は如何ですか」

 「お陰様で日に日に良くなって来ております。皆様がお越しになるのを楽しみにしておりましたよ」

 「それは良かった。先にアマンダ嬢を休ませて差し上げたいのですが」

 「ご用意しております。その後、皆様のお部屋にご案内致しましょう」

 アマンダの体はヘイノに抱えられ、執事の後ろを歩く。その後ろには魂だけの令嬢、リューデリア、サイヤ、ハンナをおんぶしている情報屋が続いた。

 一方、従者たちが荷物整理をしているところに、車椅子に乗ったエスコが、アルタリアに押されてやって来る。

 「やあ。無事に着いたようでよかった」

 「旦那っ。元気そうじゃねえか」

 「お陰様でね。ヘイノたちは部屋かい」

 「ああ。今案内されてるぜ」

 「そうなんだ。まあ、あとで会えるからいっかな。先に行ってるって伝えておいてくれる」

 「了解」

 「手伝えなくて、すまない。また、後で」

 会釈をした二人は、方向を変えて奥に入って行く。

 「ちょっとつらそうに見えたけど」

 「痛みがあるのかも、しれないな」

 ギルバートは悲しそうな瞳を、貴族たちに向けた。

 各々の部屋に荷を運び終わり、食卓で改めて無事に合流を果たせたことを喜ぶ一行。今日は休養を兼ねて早めに休むことに。

 翌朝、各自で朝食を済ませたアマンダとハンナ以外の面々は、紅茶の香りが漂う中、

 「このメンツでとある神殿にむかうってコトは前に話したとおりだ。問題は奥深くはいるまでの道中だ。イスモ、あんたならどう動くんだ」

 「どうっていわれてもね。そりゃ人気のないところで待ち伏せが普通だけど。目的地がはっきりしてるなら食事に毒も仕込める」

 「つまり、暗殺者にとっては格好の場所。と言う事か」

 「そうだね。ましてやこの国は緑が豊かで、障害物も多ければ毒の材料も豊富だし」

 どうするかは本人の力量次第かな、と元コラレダ軍暗殺部隊隊長。視界を遮るものの存在感が強いのなら、弓で狙うのもあり得るという。

 「難民に紛れて、コラレダ兵が潜伏する可能性も、否定出来ない。さすがに、見分けられない」

 「つってもよ。直接仕掛けにくる訳じゃねえんだろ」

 「ワープを使えば送りこめるぜ。そうなったらドンパチだ」

 「場所と場所を繋げる魔法だったな。ノアゼニアでゾンビが運ばれていたのと同じ様に、生きた人間を送る、と」

 頷く情報屋。

 「フィリアの結界もぶちぬいた奴だから、どこから敵がわいてでてくるかわかんねぇ。アマンダとエスコがのってる馬車が襲われたら終わりだ」

 「守備が手薄になるもんねー。二回に分けて行動するのも難しいかい」

 「扉を開けられるのは一度だけなんだよ。全員でいかねぇと時間だけがくう」

 「ああ、そりゃダメだねえー」

 あちらは魔法師も平気で戦場に送り込む国。少数とはいえ、物理と魔法の両方に対応可能な隊を組むだろう。ランバルコーヤ王国の独立から半年が経過している今、アルタリア様の仰る通り潜伏している可能性もある。

 ヘイノは出ている意見から対策を講じるが、良い案が浮かばないでいた。

 「コラレダ軍はまだ外にいるからな。表むきは難民を連れ戻すためとかほざいてっけど」

 「伏兵かもしれん、か。ならば早く動いたほうが良いだろう」

 「俺たちもそのワープってヤツ使えばいいじゃない」

 「使わねぇほーがいいって。あっちにも魔法師がいるから、オレたちの居場所を探ろうと思えば探れるし」

 「ふうん。魔法を使うってけっこうなリスクなんだね」

 「え、あ、うん。そーだな」

 「あれ。まあ、いつも使ってると気づかないのかもね」

 魔女たちも顔を見合わせた辺り、当人にとってにも盲点だったよう。魔法師は自らの魔力を無意識に調整しており、余波を限りなく少なくしているのだ。

 様子を見ていたエスコは、執事に耳打ちをする。

 「恐れながら、エスコ様の代弁と発言させて頂きます」

 視線がレインバーグの執事、フェインツ・ハマーライネンに集まる。

 「魔力に反応するなら、囮にするのはどうか、との事にございます」

 「オトリって。おいてくワケにはいかないっていったろ」

 「魔法師様ではなく、魔力を道具に閉じ込め、遠隔操作すれば良いのでは、と」

 フェインツは手順を説明する。まずは魔法師にその道具を運んでもらい、そこでワープを使う。次にエスコが弓で道具を刺激し大きな魔力を放出する、という流れだった。

 「エスコ様は実体ではなく、肉体から離れる秘術を用いて行います。魔法とは質が異なるため、おそらく気づかれないのではないか、と申されております」

 「ふむ。しかし、君に負担は掛からないのか」

 エスコは軽く笑い、首を振る。目を伏せ、右手を口元に持って来たヘイノは、

 「道具の方は用意出来そうか」

 「魔力をこめるのはあるけど。閉じこめるのはあったっけ」

 「少し大きくなってもいいなら、組みあわせればいいんじゃない~」

 「箱の様な入れ物があればより狙いやすいだろうな」

 「あ、そうね~。ならできるわね~」

 罠が発動すればいいのよね~、と、サイヤはエスコに尋ねる。彼が小さく頷くと、魔女たちは部屋に戻る為に退席した。

 「問題は誰が持って行くかだが。情報屋、適任者はいるか」

 「相棒にもっていかせるよ。鳥だから反応もクソもねぇし」

 「そうか。あの大きな鳥はとても賢い様だし、問題ないな。あとは道具か」

 「ねえねえ~、木箱ないかしら~」

 「うわっ。あ、ある?」

 「多分。大きさは」

 「これが入れば大丈夫です~」

 「分かった。見て来る」

 と、立ち上がったアルタリアも瞬時に姿を消す。

 「もう出来たのかい」

 「まだよ~。これから詰めるから、ちょっと待っててね~」

 「ちなみにさ、どうやってこめるの? 魔力って」

 「ん~。この水晶に意識を集中させるのよ~」

 キョトンとしてしまう、非魔法師たち。流れが存在するらしく意識的に流れを集中させる、というのだが。

 「ちっとも分かんねえ」

 「何ていえばいいのかしらね~。経験しないと伝わらないかも~」

 「魔法師の専門技術みたいなカンジだと思うぜ。たぶん」

 「なるほど。その表現はしっくりくる気がする」

 「サイヤ。幾つか、持って来た」

 「ありがとうございます~。全部もらってもいいですか~」

 「うん」

 「助かりました~。それじゃ~」

 挨拶をしたサイヤは、一瞬で部屋に戻って行く。

 「魔法って面白いね。俺も覚えてみたくなったよ」

 「便利だもんなあ、色々とよ」

 「体の強化とかも出来るしな。多種多様な使い方があるらしい」

 「へえー。どういうのがあるのー」

 と、傭兵たちは興味津々。数百年前に迫害された記憶があるアルタリアは、自然と笑みがこぼれていた。

 サイヤとリューデリアは、午前中に罠を作り上げることに成功した。動作も問題無いという。

 ちなみに、大体の大きさが決まってから一度帰国したそうだ。

 「ちょうど使用しないのがあるっていうから、もらえたのよ~。運がよかったわ~」

 「こんなに早く出来るなんて、正直思っていなかった。感謝する」

 「魔力をこめるだけだったからよ~。魔道具をつくるわけじゃないもの~」

 と、荷台の中での会話。後ろにはエスコを乗せた馬車もある。

 「ハンナ。眠気は取れたか」

 「おかげ様で。よくねれたわ」

 「寝すぎじゃね。いくらなんでも」

 「この魔法ネンピ悪いんだもん。気がついたらねてるのよ」

 「あー、継続だもんな」

 「体系も異なる故、なおのこと体に負担が掛かるそうだ。私も開始五分で寝落ちしてな」

 「げ。マジで」

 「普通なら一分もしないで寝るわよ。みんな驚いてた」

 「はぁ~。そういやあ、ハンナの魔法は習ってないな」

 「一族以外は大人にならないとダメだからね。みんな興味あるみたいだけど」

 「んぐっ。た、体感できても体得はできないんだよな。不思議だよ」

 「なんでなのかしらね。私たちも疑問なんだけど、誰も理由知らないからそのままよ」

 と魔法師たち。リューデリアとサイヤも一部を会得したに過ぎず、ハンナの補助をするにとどまるという。身内でも不可思議な魔法とのことだ。

 一行は緊張感を漂わせながらも、神殿へと向かう。そして、情報屋の相棒である鳥も、ある場所へと飛んで行っていた。

閲覧して頂き、誠にありがとうございます♪

楽しんで頂けたでしょうか。


続きは後日までお待ちいただくか、note にて先行公開されています。

無料で見れますので、ぜひ遊びに来てくださいね^^

https://note.com/aoimotiduki/n/na5988967fc02

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