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第64話 決勝後の私、普通の女の子に戻ります!【第一部完結】

「……レイア……」


 ん?


「ミレイア、起きろ!」


 んん……?


 女の子の声がする。


 私の肩を、誰かが()さぶっている。


 私は目を覚ました。


「まーた、ミレイアか!」


 今度は男の人の声……?


 あっ! 担任のグラーズン先生の声だ!


 ハッ!


 私は周囲を見回した。ここは! スコラ・シャルロの教室!


 隣の席で私の肩を()さぶっていたのは、ゾーヤだ。


 あ……私、寝てたんだ。


「世界学生魔法競技会の決勝以来、たるんどるぞ!」


 グラーズン先生が、教室の檀上で腕組みして声を荒げた。


 周囲の生徒から、クスクス失笑がもれる。


 そうだ……あのフレデリカとの決勝戦から今日で3日後。


 私は普通の学生として、ぼんやり過ごしていた。




「ミレイア・ミレスタさんよ!」

「きゃああああ! 決勝観てました!」

「かっこいい!」


 放課後、私がゾーヤと校庭を通って帰るとき、生徒たちが私を見て握手を求めてきた。

 

 昨日もこんな感じだったな。


「ミレイア様! サインください!」

「おねがーい!」

「決勝、すごかったです!」


 私は、皆の手帳やノートにサインをする。


 まあ、こんなこともあと3日くらい経てば、静かになるだろう。


 スタジアムは無観客だったが、魔導鏡(まどうきょう)の生中継で、全世界の人々が私とフレデリカの戦いを見ていたのだ。


 フレデリカはスコラ・エンジェミアを、自主退学したらしい。


 そして、エンジェミア王国から旅立ったと聞いたが……。


 そういえば、マデリーン校長が言っていたけど、「スコラ・シャルロやその他の学校が、スコラ・エンジェミアに統合される」という話も、立ち消えになったそうだ。


 スコラ・シャルロ──我が校にも、平和が戻ってきたってわけね。


「お前なー、もうちょっと愛想(あいそ)よくしろよ」


 ゾーヤはあきれたように注意したが、私はきっぱり言った。


「だって、私、サインとか書くの、苦手だもん」

「ん? おい、次の(わな)だぞ」


 校門の外で、新聞や雑誌の記者たちが、私を見張っていたのだ。


「ミレイア・ミレスタさん! ちょっとお時間、よろしいですか」

「フレデリカさんとの決勝戦、すごかったですねえ!」

「どうして、聖女王候補を断ってしまったのですか?」


 私はため息をついて、「えーっと」と言った。


「私はもともと、聖女王候補は目指していませんでした」

「い、いや……。しかし、現聖女王直々(じきじき)に、ミレイアさんをご指名したのですから」


 そうだ……。決勝戦の次の日、私は聖女王から、「聖女王候補になって欲しい」と依頼がきた。聖女王が、使者を送ってきたのだ。


 しかし、私は断ることにした。


 しばらく休みたかったし……。それに……。


「ねえ、どうして聖女王候補を断ったんですか?」


 雑誌の記者の1人が、私に問う。


「私は普通の女の子に、戻りたかったのです」


 私は言った。


「ええ~っ! ふ、普通の女の子?」

「そんな! もったいない。あなたは世界魔法競技会の優勝者ですよ!」


 記者から、ため息がもれる。


「じゃあ!」


 私はゾーヤを連れて、記者から逃げた。


「あっ! 待ってください!」

「逃げないで~!」


 私の後ろで、記者たちが声を上げた。


「いいのかよ~、ミレイア」


 逃げながら、ゾーヤは私に聞く。


「聖女王候補を断っちゃってさ」

「いいのよ」


 私は笑って言った。


「あ、ミレイアが笑った」


 ゾーヤもアハハと笑いながら、記者から逃げた。


「アモール川で、ヤツらが待ってるぞ!」


 ゾーヤは言った。




「新しいアイスクリーム屋ができた」

 

 アモール川の遊歩道のベンチで待っていた、ランベールが言った。相変わらず、スイーツ屋を探していたのか……。


「そこは、ブドウとナシのシャーベットが美味いんだ」

「早く行こうぜ」


 一緒に私を待っていた、ナギトが声を上げる。


「おい、ミレイア」

 

 ナギトは私に聞いた。


「普通の女の子に戻りたいって……いつまでだ?」

「いつまで? うーん……」


 私はアモール川を見つめながら言った。


 川の水面が、昼の太陽の光をキラキラ反射している。


「また、『戦い』に戻らなきゃいけなときが、来るかもしれない。その時まで」


 私は言った。


 そう──これはつかの間の休息。


 必ず戦わなきゃいけないときがくる。戦いに戻らなければいけないときがくる。


 その時まで!


「──じゃあ、アイスクリーム、食べに行きましょう!」


 私はそう言って駆け出した。


【第一部──完結──】

【作者からのメッセージ】


 ここまで読んでくださって、ありがとうございます! これで第一部完結といたします!


【作者からのお知らせ】


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