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第61話 偽のシャルロ王国で、フレデリカとデート

 私はミレイア・ミレスタ。


 今、デートをしている。


 相手は最強の敵、フレデリカ。


 デート場所は、(にせ)のシャルロ王国、中央地区。


「良い天気だ」


 フレデリカがさわやかな笑顔を見せてそう言ったので、私は相槌(あいづち)をうった。


「そうね」

「ここは、闇の堕天使(だてんし)が変形した、城の内部だ。私たちは城の魔力によって、内部に取り込まれたのだ」

「幻覚ではない? (にせ)のシャルロ王国なんでしょう?」

「確かにここは、本物のシャルロではない。しかし、私たちが体験しているのは、本物の体験だ」


 私とフレデリカは、並んで歩いた。アモール川沿いの遊歩道を、北に歩いていく。上流だ。


 道には人が1人もいない。ゾーヤも、ナギトも、ランベールもいない。


 雲1つない晴天。


 本物のシャルロ王国の空、そのものだ。


 私はフレデリカに聞いた。


「何か見せたいものでもあるの?」

「ある」


 アモール川の遊歩道を歩いていくと、本物のアモール川では見られない光景に出くわした。


 アモール川は大きな湖に流れ込んでいる。


 湖は鉄の(さく)で囲まれている。


 ドドドドド……。


 そして岩壁から、巨大な滝が湖に流れ落ちていた。


「ありえない」


 私はつぶやいた。本物のアモール川の上流は、エクセン王国までつながっているはずだ。


 湖なんてないはずだ。


 そして滝すらもないはず。


「滝よ、止まれ」


 フレデリカは命令した。


 すると、本当に滝は止まってしまった。岩壁があらわになる。


 やはりここは、フレデリカの縄張(テリトリー)なのだ。


「ああ!」


 私は目を見張った。そこには巨大な氷が──岩壁に巨大な氷が埋まっていたのだ。


 まるで城のように巨大な氷の(かたまり)が、岩壁に()まっている。

 

 そして氷塊(ひょうかい)の中には、何かがある! いや、何かがいる。氷漬けにされているのだ。


「あれは?」

「魔王……大魔王『グレス・バル・ドロネ』だ」

「あなたの闇の堕天使(だてんし)の本体ってわけね」


 氷塊(ひょうかい)の中に()まっているのは、まるで巨獣(きょじゅう)ともいえる巨大な獣のような魔物だった。


 あれが大魔王か。


 高さ20メートルはあるだろう。


 トロールよりも、ドラゴンよりも、オーガよりも大きい。


 それが大魔王の正体だったのか。


「あれが、私の前世」

「えっ?」

「覚悟しろ」


 フレデリカは静かに言った。


召喚(しょうかん)する」


 ゴゴゴゴ……。


 氷にひびが入った。な、何?


 バキバキバキ


 そんな音とともに、氷塊(ひょうかい)が割れそうになる──その時、私の頭の中は、真っ白になった。



 う……。


 私はハッと目を覚ました。


 ……ここは? あれ? スタジアムだ。決勝の舞台だ。


「はっ!」

 

 試合中だ! 私は舞台上で倒れていたのだ。


「ダ、ダウンカウントは?」


 私は混乱する頭で、周囲を見回した。ナギトやゾーヤ、ランベールがいる。


 スタジアムは……無観客だ。マデリーン校長や、アルバナーク婆様たちは、席の最前列に残っている。


「ミレイア! お前は負けてねーぞ!」

 

 ナギトは声を上げた。するとその横で、審判長もうなずいて言った。


「う、うむ。その通りだ。ミレイア、君は敗北していない」


 私はホーッと息をついた。


 審判長は続けた。


「フレデリカの使役(しえき)する闇の堕天使(だてんし)が、城になり、フレデリカが魔法を唱えたとき、君は突然、舞台上に倒れ込んだ」

「そ、それで?」

「うーむ……フレデリカが直接、攻撃を加えたわけでもないので、ダウンカウントは取らなかった」


 試合はまだ決していないのか……。しかし、フレデリカの姿がない。


「でも、フレデリカがいないじゃない?」

「あいつ、魔法を使った後、消えたんだ。でも、恐らく城の中にいるぞ!」


 ゾーヤは叫んだ。


「気を付けろ!」


 私は上空を急いで見上げた。


 闇の堕天使(だてんし)──巨大な城が、大きな羽を羽ばたかせて浮かんでいる。


「待たせたな、ミレイア」


 空中の城から、誰かが飛びおりてきた。


 フレデリカだ。


 その途端、空中の城は消滅(しょうめつ)してしまった。


「闇の堕天使(だてんし)は──あの城は、もう必要ない。大魔王『グレス・バル・ドロネ』は私の中にいる」

 

 フレデリカはスタッと舞台上に降り立った。


「力を見せよう」


 フレデリカは魔力を高めている。


 フレデリカの背後に、巨大な大魔王「グレス・バル・ドロネ」が見えた。


「破壊!」


 フレデリカの背後の大魔王が、巨大な拳を振り下ろしてきた。


 ドーン


 私は飛んで、()ける。拳は、舞台上の石畳を破壊した。


「コクトゥーラ!」


 コクトゥーラとは──古代語で一体化、もしくは融合(ゆうごう)──という意味だったと思う。


 フレデリカと魔王が光る。


 まぶしい……。


「な、何?」


 次の瞬間、私は目を見張った。


 目の前にいるのは、闇色(やみいろ)(にぶ)い光を放つ、子どもだったからだ。


「あ!」


 私は思い出した。10歳のときの……フレデリカだ。


 しかしながら少年のような少女のような、不思議な姿をしている。


「これが……私か。私の真の姿か。確かにすさまじい力を感じる。まるで神にでもなったような気分だ」


 フレデリカはつぶやいた。


 闇色(やみいろ)に光るフレデリカは、子どものようだ。大魔王と合体し、子どもの頃の姿に戻ったフレデリカ。それが真の姿だというの?


 頭には鹿のような角が生え、口には(きば)が生えている。


「では、レイリーン魔導術(まどうじゅつ)、最高の魔法を発動しよう」


 まずい──私は身構えた。


「オプクリスタス・スティルペース!」


 フレデリカは古代語を唱えた。


 舞台全体から、何かが盛り上がってくる。


 植物!


 舞台全体が、やがて奇怪で巨大な食虫植物に覆われてしまった。


 食虫植物は高さ3メートルや4メートルのものもあり、見上げるような大きさだ。


 巨大な食虫植物は7つ、中くらいのは4つ。


 舞台全体に生えているのだ。


(闇の植物か……)


 私は心の中でつぶやいた。闇色(やみいろ)の不気味な食虫植物たちは、ゆらりとうごめいて私を見ている。


 後ろから──。


 ガバアアアアアッ


 巨大な食虫植物が、私の頭上で大きな口を開けた!


 私を()おうとしているのか!

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