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第60話 はじめまして! 私、ミレイア・ミレスタです!

「おい……おい、起きろよ」

「ん……?」


 私は目を覚ました。左肩を()さぶられている。誰……?


「なぁに……?」

「なぁに、じゃないよ、まったく」


 私──ミレイア・ミレスタはぼんやり顔を上げた。ここは……ああ、いつも通りのスコラ・シャルロの教室。2年B組だ。


「ほら、やべえって」


 左隣の席から、私に話しかけてくるのは、親友のゾーヤだ。彼女は、魔法使いを目指している。


 私、机に突っ伏して眠っていたのか。


「グラーズンが見てる」

「こおらああああっ! ミレイア!」


 教室の檀上(だんじょう)に立っている、中年男性の担任教師、グラーズン先生が声を上げた。あ、そうか。今は歴史の授業時間だ。


「明日から学校祭だからって、気を抜いて寝てるんじゃないっ! きちんと勉強しとかないと、社会に出たとき、困るぞ。続けるぞー、いいか。我がシャルロ王国は、323年前にエクセン王国と同盟(どうめい)を結んだが──」

「ほーら、言わんこっちゃない。怒られた。つーか、グラーズンっていつも怒ってるな」


 ゾーヤは口をとがらせて私を見た。


「あ、そうそう。放課後、『ラビリッツ』にアイスクリーム食べに行かね?」


 ラビリッツは、シャルロ王国で最も人気のあるアイスクリーム屋だ。


「行く行く」


 私は小声で言った。


「私はイチゴとバナネの実のアイスクリームがいいな」

「バカ、ミルクとチョコが最強だろが」


 ゾーヤと私が、アイスクリームの話で盛り上がっている時──。


「バカタレ! ミレイア! ゾーヤ!」


 グラーズン先生が、私たちに向かって声を上げた。


「そんなにアイスを食べて頭を冷やしたいのなら、廊下に立っとれえええ!」


 教室がドッと笑いに包まれた。私とゾーヤは顔を赤らめた。




 まあ結局、廊下には立たされなかったけど。

 

 放課後、私たいはいつものメンバーで、中央都市のアイスクリーム屋、「ラビリッツ」へ向かった。


 いつものメンバーとは、ゾーヤとナギト、ランベールだ。


 午後3時30分、天気は雲一つない晴れだ。本当に良い天気。


 私たちはラビリッツで、アイスクリームを買い、アモール川のベンチで食べることにした。


「お前なー、元聖女なんだから、もっとしっかりしろよ。授業中も寝てばっかりじゃねーか」


 ナギトはチョコアイスを食べながら、私に言った。ワルぶってるけど、勇者コースでは結構優秀だ。


「だって、眠いんだもの」


 私はもう、アイスクリームを食べてしまった。イチゴとバナネの実は、最高の味。ちょっと今日のは、イチゴの味が酸っぱいけどね。


「ところで、明日は学校祭だが」


 ランベールは真面目な口調で言った。しっかりした男の子だ。


「俺たちのクラスは、確か仮装喫茶だったな? メニュー表をまだ作成していなかった。これから文房具屋に行くぞ。中央都市外れの、ルーベンス通りにある」

「よし、行きましょう」


 私が立ち上がった、その時──。


「──ちょっとすみません。道を聞きたいんですけど」


 横から女性の声がした。


「えっ?」

「ビリアーニ雑貨店は、どこにあるかご存知ですか?」


 私は、「知ってます」と言って、その人の方を見た。そこには、ニコニコ笑った、素敵な若い女性が立っていた。


 うわー、帽子がおしゃれ。


「えっと、ここを曲がって──」


 ビュオッ


 パシイッ


「真っ直ぐ行くと──雑貨屋に行けますよ」


 私はニヤリと笑って言った。


「フレデリカさん」


 私はその若い女性の手刀を、左手で防いでいた。


 首筋に、手刀を叩きつけられる寸前だった。


「……フフフフッ」


 若い女性は、帽子を投げ捨てた。その女性は──フレデリカだった。


 周囲の人々は消え、ゾーヤもナギトもランベールの姿も消えていた。


 ただ、シャルロ王国中央地区、アモール川の遊歩道がそこにあった。


「ミレイア、お前……すべて見抜いていたのか? これが偽物のシャルロ王国だと」

「途中から分かったわ。アイスクリームを食べたとき。味が少しだけ違っていた。味が正確な『ラビリッツ』では、滅多(めった)にないことだから、おかしいなって」

「ハアアアッ」


 フレデリカは手の平で、私のアゴをつかもうとした。


 パシイッ


 私はそれも右手で防いだ。

 

 フレデリカは手の平から、電撃魔法を放つ気だった。


 私は防いだ手の平から魔法をかけ、フレデリカの電撃魔法を撃たせないようにしていた。


「これが闇の堕天使(だてんし)フィレンティーヌの幻覚作用だ。しかし、それに気付いてしまうとは、さすがだね」


 フレデリカは笑った。


「ミレイア」

「何?」

「ちょっとデートしない? 女の子同士で」

「いいわね。しましょう」


 私はニッコリ笑って、うなずいた。


 この偽物のシャルロで、フレデリカとデート。


 危険と隣り合わせの、最高のデートになりそうだった。

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