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第55話 マデリーン校長VSフレデリカの母

 私は世界学生魔法競技会の準決勝で、ナギトの力を借り、何とか勝利した。


 その2日後、私はスコラ・シャルロに登校した。


「ミレイア先輩! 握手してくださーい!」

魔導鏡(まどうきょう)で生中継、観てました! 準決勝、すごかったです!」

「ミレイアさん! 大ファンです」


 校庭で、スコラ・シャルロの生徒たちが私を取り囲んだ。


「ど、どうもありがとう。応援してください」


 私はぎこちなく、言った。


「キャーッ! 応援します!」

「頑張ってください」

「ミレイア様!」


 私を取り囲んでいる、生徒たちは(うれ)しそうな悲鳴を出した。


 昨日私がシルビアに勝ち、決勝に進出したことで、生徒たちは大騒ぎしたらしい。魔導教(まどうきょう)のニュース番組や、新聞にも掲載(けいさい)されたのが、生徒間で大きな話題になったようだ。


(はああ……。何だ大変なことになっちゃった)


 私がため息をついていると、校舎の1階の校長室のほうから、大声が聞こえてきた。


「帰ってください!」


 マデリーン校長の声? 私は急いで、校長室に向かった。




 私が校長室のドアをノックし、そーっと開けると──。


「あなたたちの学校が、スコラ・エンジェミアに統合される。その日が近づいてきました」


 聞いたこともない、女性の声だ。


「冗談じゃない! そんな話、まだ続いていたんですかっ!」


 また、マデリーン校長の声が響いていた。


 応接用ソファに座っているのは、マデリーン校長。そのマデリーン校長の前には女性──恐らく30代後半。銀ブチ眼鏡をかけた、いかにも教育者、といったような女性が座っていた。


「この世は魔族、魔物に支配されます。そのとき兵士として先頭に立つのが、若い勇者や聖女候補(こうほ)たちです」


 女性は言った。この人、どこかで見たことがある?


 そうだ! いつか新聞で見たことがある。


 確か、スコラ・エンジェミアの理事長、アグディアーナ・レイリーン!


 ──フレデリカの母親だ!


「世界最高の聖女養成学校であり、スコラ・エンジェミアが、この世界のすべての勇者・聖女養成学校を指導します」

「それで?」

「スコラ・エンジェミアが、あなた方、スコラ・シャルロを取り込み、指導するのです! だから、あなたたちの学校は、1ヶ月後には無くなるわ」

「頭がおかしいですね! 冗談じゃない。スコラ・シャルロは無くなりません。そもそも、あなたたち、女子校じゃないの! 我が校は共学だし、あなたたちに指導なんかできるわけがない」

「スコラ・エンジェミアは女生徒のみの学校ですが、男子も教育できる体制は整っていますけどね!」


 アグディアーナ理事長はニヤッと笑い、銀ブチ眼鏡を光らせて言った。


 アグディアーナ理事長の後ろには、青い制服を着た作業員が、3名立っている。筋骨隆々(きんこつりゅうりゅう)の山鬼族3名だ。


「ミレイア、来ていたのね」


 マデリーン校長は私を見て言った。


「私の隣にお座りなさい。この(おんな)……いや、この方はフレデリカのお母様であり、スコラ・エンジェミアのアグディアーナ理事長です」

「お久しぶりね、ミレイアさん。10歳くらいのとき、フレデリカとお友達だったわね。そのとき、お会いしたかしら……?」


 アグディアーナ理事長は、銀ブチ眼鏡を、クイッと指で擦り上げた。


 ちょっと見かけたことがあったと思う。だけど、フレデリカのお母さんは、いつも仕事で忙しそうだった。


「それで、今日は何しにいらしたんです? そんな作業員を連れてきて」


 マデリーン校長は、アグディアーナ理事長の後ろに立っている山鬼族……作業員3名をにらんだ。


 アグディアーナ理事長は淡々と説明した。


「この学校の、改修工事の見積もりをしに来たのよ」

「改修工事……」

「我々の指導に合うように、この学校を造り変えないとねえ。この学校の設備では、教育には不十分! レベルが低い!」

「な、なんですってぇ? レベルが低い?」


 マデリーン校長は、机をバーンと叩いた。


「失礼ですよ! 私たちは最高の教育を生徒に教えています! そもそも、どうして単なる学校の1つであるスコラ・エンジェミアが、そんな勝手なことができるんですか?」

「今回のことには、政治家、王族、大貴族、たくさんの金持ちたちが関わっているの」


 アグディアーナ理事長はニヤ~ッと笑った。


「魔族との戦争は、この世の未来がかかっている。そのために準備しなきゃならないじゃない。危機感を感じないのかしら」

「危機感はある。でも、スコラ・エンジェミアが我が校を乗っ取るという話には、乗れないわ。それに──」


 マデリーン学校長は言った。


「あなたたち、スコラ・エンジェミアの(たくら)みは、すべて打ち(くだ)かれるでしょう」

「は? 何言ってんの?」

「あなたたちの(たくら)みは、フレデリカが世界学生魔法競技会で優勝することを前提(ぜんてい)としたもの」

「そうですよ? 娘は優勝し、スコラ・エンジェミアの力を見せつけます」

「それは大間違いですね!」


 マデリーン校長は、隣に座っている私の肩に手を置いて、声を上げた。


「世界学生魔法競技会決勝戦は、私の隣にいる、ミレイア・ミレスタが勝利いたします!」

「はあ?」


 アグディアーナ理事長は、今日初めて、目を丸くした。


「頭がおかしくなったんじゃないの? あんたたちのようなクソ平凡学校の生徒が、我がスコラ・エンジェミアの生徒が負けるわけがない!」

「ナターシャ・ドミトリーは、ミレイアに敗北しましたよ。忘れたのですか?」

「え? あっ……ぐ」

「私も、フレデリカに勝つ気持ちでいます!」


 私もきっぱり言った。


「む……ぐ!」


 アグディアーナ理事長は、バーンと立ち上がった。


「わ、分からず屋どもめ! 自分たちのレベルの低さが分からないとはね!」


 アグディアーナ理事長は、銀ブチ眼鏡を指ですり上げた。


「と、ともかく、娘のフレデリカの勝利はゆるがない! ミレイアさん、あなたはフレデリカに勝つのは不可能です! いい加減受け入れないと、我々も、強引にことを進めますから!」


 彼女は作業員を引き連れ、部屋の外に出て行ってしまった。




「ふう~……」


 マデリーン校長はソファに体をあずけた。


「聞いた話によると、フレデリカは『レイリーン魔導術』という術を操るそうよ」

「レイリーン魔導術……」

「レイリーン家に古代から伝わる、魔法術らしいわ。それを広めるために、この学校統合計画を進めている噂がある」

「そ、それって! そのレイリーン魔導術が、闇の力を利用しているとすれば……」


 私は言いながら思った。フレデリカが使役(しえき)する、あの闇の堕天使(だてんし)……! あれは闇の存在だ!


 マデリーン校長はつぶやいた。


「大変なことになるわね。数年後は、学生たちが学ぶ魔法術が、ほぼ全員、闇の力を根源としたものになってしまうわ」


 私は、冷や汗をかいていた。

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